2012年4月24日火曜日

郵政民営化 - Wikipedia


郵政民営化(ゆうせいみんえいか、英語:Postal privatisation)とは、従来国営で行われてきた郵政事業を組織構成を組み換え民間企業に改編することである。ただし、日本においては、本来は郵便を行う郵便局が貯金や保険などの金融業務を行っており、事実上、世界最大の金融機関となっており、郵便業務だけを行う郵便局の民営化が焦点となることが多い外国とはその内容や重要性が大いに異なる。本記事では日本を中心に記し、外国の情勢についても付記する。

[編集] 日本における概要

日本における郵政民営化とは、政府が1990年代末から2000年代にかけておこなっている郵政三事業(郵便・簡易保険・郵便貯金)を民営化することを目的とした政策である。

郵便局では、郵便配達をしているだけではなく、「郵便貯金」という銀行業務、「簡易保険」という保険業務を行い、全国の郵便局には、合計350兆円もが集まっていた。郵便局からこのお金が日本国に貸し出され、日本国はこれらを日本道路公団や住宅金融公庫などの特殊法人へ貸し出す原資とした。貸し出された側では郵便局に集まるお金をあてにできたため、費用対効果をあまり省みないで活動ができた。そのため赤字の道路が作られるような状況が生まれた。そこで、

  • 郵便局が扱うお金を国が利用するしくみはやめ、特殊法人はできるだけ民間会社として自ら資金調達し収益を上げる。
  • 郵便局の仕事自体も民間の仕事とし、郵便局が銀行業務や保険業務として扱うお金は自らで収益を上げる。

ようにした。郵政民営化後は日本郵政はいままで払っていなかった税金も徴収対象となり、政府の保護政策の対象ではなくなり一般企業として市場競争にさらされることになる[1]

「民営化」議論によって「郵政四事業」として語られるようになったが、従来の三事業に包含されていた郵便局窓口での接客サービスである「窓口業務」を別事業として区分したものである。

2009年8月現在、郵政関連株は100%政府所有(財務大臣所有)であり、資本は国有化されたままである。将来的に資本の民営化が課題となるが、資本流動化により日本国以外の民間資本が入ることに対するさまざまな懸念も議論されている。

[編集] 郵政省から郵政公社へ

1996年に第1次橋本内閣の「行政改革会議」が発足し、中央省庁再編について議論が交わされた。翌年8月に出された中間報告では、郵政民営化が政府報告として初めて盛り込まれ、郵便は国営、郵便貯金は民営化を準備、簡易保険は民営化、という案が出された。しかし、最終報告では、郵政三事業は国営を維持させ、三事業一体の公社で国家公務員の職員によって運営される、という結論が出された(公社の職員は本来であれば公務員から外れるべきものである)。結果として、国家公務員の公社という不自然な形となっており、公社の経営形態を今後見直さないという条項さえもあった。これには、自民党の支持基盤である特定郵便局長会、そのOBで構成されている大樹の会、民主党の支持基盤である郵政系の労働組合、旧郵政省の官� �らの圧力があった[2]

1999年5月、与野党ともに「郵政民営化」がタブー視されていた当時、超党派の国会議員で構成される「郵政民営化研究会」が立ち上げられた。会長を小泉純一郎が、事務局長を松沢成文がそれぞれ務め、メンバーには中田宏、前原誠司、堂本暁子、上田清司らの名前があった。この研究会では、郵政民営化の実施計画として、郵政持株会社の傘下に郵便会社、地域別の郵貯銀行、地域別の簡保会社をそれぞれ設ける案を提示していた。

2001年1月6日に実施された中央省庁再編により、郵政省の郵政行政及び郵政事業部門は、それぞれ総務省郵政企画管理局と郵政事業庁に再編された。その後、2003年4月1日に郵政事業庁が特殊法人である日本郵政公社となった。

[編集] 小泉内閣による郵政民営化

小泉純一郎が内閣総理大臣に就任すると、小泉内閣は郵政民営化を重要施策の一つとして掲げ、小泉自身も「行政改革の本丸」であると主張した。小泉は1979年の大蔵政務次官就任当時より郵政事業の民営化を訴え、宮沢内閣時の郵政大臣在任時や、第2次橋本内閣の厚生大臣在任時にも訴え続けていた。一方で郵政三事業の民営化は行政サービスの低下につながるとして激しい反対論が野党はもとより与党である自民党内からも噴出し、衆議院で否決される事態となった。

郵政民営化関連法案は、第162回通常国会で一部修正の上、2005年7月5日、衆議院本会議においてわずか5票差でかろうじて可決されたものの、2005年8月8日、参議院本会議においては否決された。衆参どちらの採決においても、自民党執行部の党議拘束にもかかわらず、多数の自民党国会議員が反対に回っていた(造反議員の一覧については郵政国会を参照のこと)。この結果を受けて小泉は民営化の賛否を国民に問うとして、衆議院を解散した(郵政解散)。反対派の一部は自民党を離脱し、新党(国民新党・新党日本)を結成。その一方で離党せず自民党に残った議員は公認を得られず無所属候補として第44回衆議院議員総選挙に出馬することになった。また、郵政民営化に反対した国会議員の選挙区すべてに自民党は対立候補(いわゆる� ��刺客候補」)を送り込んだ。これら刺客候補を送られ対立した議員の多くは、次期政権の安倍政権によって多くの議員が自民党へ復党している。

そして、9月11日に実施された第44回衆議院議員総選挙では、与党の圧勝という結果になった(ただし公明党は3議席を失い敗北する)。自民党は選挙後、郵政民営化に反対した国会議員に除名や離党勧告などの重い処分を科した。後の特別国会で10月14日に同内容の関連法案が可決・成立された。

[編集] 郵政民営化凍結の動き

2007年7月29日に行われた第21回参議院議員通常選挙で第一党となった民主党は、同年8月9日に国民新党・社会民主党と共同で、民営化の実施を凍結する「郵政民営化凍結法案」を第167回国会に提出した[3]。この法案は、郵政民営化の実施期日である「10月1日」を「別に定める」に改正し、郵政民営化自体を1年間凍結させるものであったが、審議されないまま廃案となった。民主党は当初、国民新党に配慮して、この法案を第168回国会へ再提出する意思を示していたが[4]、民営化の実施期日に間に合わないとして一旦は再提出を見送った[5]。その後、国民新党から共同提出を求める声があり、再度協議したものの結局は断念した[6]

その後、国民新党は党内で検討を進め、社民党、民主党と共同で郵政民営化凍結法案を第168回国会へ提出した[7]。内容としては、政府が保有している日本郵政の株式と、日本郵政が保有しているゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の両株式の、市場への売却を当面3年間凍結させることにより、郵政三事業の一体経営を継続させるものである。

提出当初は、法案が委員会になかなか付託されなかったため、審議が始まらず、国民新党は民主党に対して法案の早急な委員会付託を求めた[8]。その後、12月4日に参議院総務委員会で提案理由説明が行われ、ようやく審議入りすることとなった。12月11日には参院総務委員会で[9]、翌12日には参院本会議で[10]、それぞれ野党の賛成多数で法案が可決された。法案は衆議院に送付されたものの、与党側は「現在の法律や制度でも、株式を売却する前に、日本郵政グループの完全民営化に関する見直しを行うことはできる」として反対の意思を示し、2008年12月11日に与党の反対多数で否決・廃案となっている。

[編集] 郵政民営化の実現

2007年10月1日には東京・霞が関にある日本郵政の本社で「日本郵政グループ発足式」が行われた。グループの持株会社となる日本郵政の西川善文社長、福田康夫首相、増田寛也総務大臣に加え、郵政民営化を推し進めた小泉純一郎も出席した。小泉は発足式の中で、従来は全政党が反対していた「郵政民営化」を実現できたのは国民による支持があったからこそであると述べている。民間企業の多くは総資産338兆円・従業員24万人を抱える巨大企業グループを警戒視しており、今後の「公共性の維持」と「効率化」との両立が課題とされている。

[編集] 麻生内閣による見直しの動き

2009年2月5日の衆議院予算委員会において、麻生太郎首相が、小泉政権の郵政解散当時に日本郵政公社を所管する総務大臣だったにも関わらず「小泉純一郎首相(当時)の下、(郵政民営化には)賛成でなかった」[11]「最後まで(解散詔書に)サインせずえらいもめた」[11]と発言し、与野党に大きな波紋を広げた。自民党改革実行本部の本部長武部勤は「ばかなことは言うな。発言は慎重にしてほしい」[12]と厳しく批判し、幹事長の細田博之も「非常に長時間かけていろいろな議論をした上で民営化は決まっている。どういう見地で見直しが行われるべきか十分に考えなければならない」[12]と苦言を呈した。


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また、この発言について小泉元首相は、2月12日に自民党本部で行なわれた「郵政民営化を堅持し推進する集い」において、「最近の麻生首相の発言は笑っちゃうくらいただただあきれる」と厳しく批判した[13]

なお、郵政民営化法には「3年毎の見直し規定(国営化に戻すというわけではなく、経営を良くするためのもの)」が設けられている。実際に最後まで署名を拒否したのは麻生ではなく農林水産大臣の島村宜伸であり、島村は署名に同意しなかったため罷免されている[14]

[編集] 民主党政権による見直し

民主、社民、国民新の三党は2009年8月14日、同月30日に開票される衆議院総選挙に向けての共通政策として郵政民営化の抜本的な見直しを掲げた[15]。政権交代が実現された後、国民新党の亀井静香郵政・金融担当相が積極的に民営化見直しを働きかけ、民営化推進派である西川善文社長が「政府と隔たりがある」として2009年10月20日に辞任を表明した[16]。翌21日、同相は次期社長として元大蔵省次官である斎藤次郎を起用すると発表した[17]。これにより民主党連立政権による郵政民営化見直しの骨子はほぼ決定的となってきたが、小泉純一郎元首相による改革の巻き戻しでしかないとも言われている[要出典]。また、日銀総裁人事などの国会同意人事で官僚出身である事から拒否し、天下り禁止を主張してきた民主党がこの様な官僚出身者を抜擢した事についての批判がなされた[18][19](ただし、日銀総裁人事については、「財政と金融の分離」という面もあったことを留意する必要がある)。

2009年12月4日、第173回国会(臨時会)の参議院本会議において郵政株売却凍結法案が可決・成立した。同法律によって、郵政民営化当初の目標とされた、日本郵政が保有するゆうちょ銀行・かんぽ生命保険両社株式の2009年度中の上場・市場売出しと、かんぽの宿・メルパルクなどの不動産売却は、新経営陣による郵政民営化の再構築が行われるまで当面凍結されることとなる。

2010年4月30日、郵政改革関連3法案が閣議決定され、衆議院に提出された。日本郵政株式会社は2011年10月1日に郵便事業株式会社と郵便局株式会社の業務、権利、義務を合併により継承する。同時に政府は、日本郵政の3分の1以上の株式を保有する。日本郵政は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命それぞれの3分の1以上の株式を保有し、傘下に置く。結果、現在の5社体制から3社体制となる。これらの見直しにより、将来に渡って郵便、貯蓄、送金・債権債務の決済、生命保険が郵便局で一体的に利用できるようになる。また、郵便局ネットワークは、地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点として位置付けされ、地域のワンストップ行政の拠点として活用される。現在、一部の郵便局において、住民票の写し、印鑑登録証明書の交� ��の事務などやゴミ処理券、公営バス回数券等の販売等が行われているが、年金記録の提供や旅券関連事務などの、地域住民の利便の増進に資する業務ができるよう法整備が検討されている。一方、これらの郵便局ネットワークの維持のために、郵便貯金の預入限度額を1000万円から2000万円、簡易生命保険の加入限度額を1300万円から2500万円へ引き上げることが認められた。政府が依然株式の一部を保有し続けるため、暗黙の政府保証が継続すると考えられるゆうちょ銀行への資金移動が起こり、中小金融機関の経営を圧迫するおそれが指摘されている[20]

2010年5月8日、グループ内の約20万人の非正規社員のうち、勤続3年以上などの6万5000人を正社員として採用すると発表した。また、同月には、総務省の郵政民営化を検証する日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会(委員長:郷原信郎総務省顧問)による報告書[21]が出された。当該報告書では西川社長の経営手法や、客観的公平性に欠ける取引や財産の処分が指摘されている。

郵政民営化関連の法律では日本郵政公社を以下の6つの組織に分けている。

日本郵政株式会社(JP 日本郵政 JP HOLDINGS)
郵便事業株式会社・郵便局株式会社の全ての発行済み株式を保有・管理する。
上記2社の経営管理や業務支援を行う。
2017年度の株式上場を果たし、2017年9月末までに郵便貯金銀行・郵便保険会社の保有株式を完全処分する。ただし、完全処分後の株式買い戻しも法律で認められている。
郵便事業株式会社(JP 日本郵便 JP POST)
郵便業務・収入印紙の売りさばきを行う。
郵便局株式会社(JP 郵便局 JP NETWORK)
郵便局・郵便窓口を通じた窓口サービスを行う。
郵便貯金銀行(JP ゆうちょ銀行 JP BANK)
従来の通常郵便貯金などを郵政公社から継承し、郵便貯金業務を行う。
2009年度から2010年度の期間中に株式上場を果たし、2017年9月末までに完全民営化を目指す。
郵便保険会社(JP かんぽ生命 JP INSURANCE)
生命保険業務を行う。
郵便貯金銀行と同様に、2009年度から2010年度の期間中に株式上場を果たし、2017年9月末までに完全民営化を目指す。
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
従来の郵便貯金契約(通常郵便貯金などを除く)・簡易生命保険契約を承継・管理する。

資金運営と新規預金や保険、総合口座の残額管理については郵便貯金銀行、郵便保険会社に移管されるため、長期的には郵便貯金・簡易生命保険管理機構は廃止が視野に入れられている。ただし、郵政民営化法や独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法では、廃止については全く言及がない。松原聡著『これならわかる!「郵政民営化」』(中央経済社)では旧勘定が無くなった段階で「廃止される見込み」とあるが、その法的根拠が無いため、道路公団のように、一時的と考えられた特殊法人が長期化することを予想する声もある。

政府の機関としては、2004年5月1日に内閣官房郵政民営化準備室(2005年11月10日以降は内閣官房郵政民営化推進室)が設置され、渡辺好明内閣総理大臣補佐官が室長を兼務し、2004年9月27日には、竹中平蔵国務大臣が郵政民営化担当大臣に任命され、両名は2006年9月26日までその任に当たった。その後、郵政民営化担当大臣は、菅義偉総務大臣が務め、2007年8月26日からは増田寛也総務大臣にその任が引き継がれた。

[編集] 職員の帰属

日本郵政公社の正規職員は民営分社化によって5つの新会社に振り分けられた。基本的にこれまで従事してきた業務を引き続き従事できるような振り分けとなっている。

  • 特定郵便局の職員は郵便局会社へ帰属。
  • 集配郵便局で郵便関係の業務に従事していた職員のうち外務職員は郵便事業会社へ帰属、内務職員については殆どが郵便事業会社へ帰属となったが、一部の内務職員(郵便窓口業務従事者)は郵便局会社へ帰属した者もいる。
  • 郵政短時間職員は全員、郵便事業会社へ帰属(公社時代は、ほぼ正規職員の待遇であったが、民営化により契約社員待遇となった)。
  • 貯金業務に従事していた職員はゆうちょ銀行直営店併設局ではゆうちょ銀行、非併設局では郵便局会社へ帰属。
  • 保険業務に従事していた職員については、かんぽ生命直営店併設局で法人営業に従事していた職員はかんぽ生命、その他の職員は郵便局会社へ帰属。
  • 集配郵便局の貯金保険総合担務職員(貯金と保険の業務を1人2役で行うこと)で、ゆうちょ銀行直営店併設局では、ゆうちょ銀行・郵便局会社のどちらかに帰属、3事業総合担務職員(郵便・貯金・保険の業務を1人3役で行うこと)は郵便事業会社か郵便局会社のどちらかへ帰属。
  • 総務担当の職員については所属局のゆうちょ銀行・かんぽ生命直営店設置の有無にもよるが日本郵政を除く4社へ振り分けられた。
  • 本社・支社職員については所属していた部署を基本線に5つの新会社に振り分けられた。
  • 逓信病院および宿泊施設の職員は日本郵政へ帰属。

民営分社化前に公社の全正規職員に対し、どこの会社に行きたいか希望調書をとっており、希望が叶わなかった社員に対する出向・転籍の制度が設けられている。また、2009年に設立されたJPエクスプレスをはじめとした、系列子会社への出向・転籍制度もある。

非正規職員(ゆうメイト)は2007年9月30日付けで一旦全員解雇となり、民営化以降これまで従事してきた業務を行う新会社に引き続き採用となった。

民営化により、これまで使用されてきた「職員」・「非常勤職員」の呼称が「社員」・「契約社員・パートタイマー」と改められた。分社化により郵便局の局長に加え、郵便事業会社・かんぽ生命の支店長、ゆうちょ銀行の店長のポストが新設された。

[編集] 不動産の帰属

日本郵政公社が所有していた不動産についても民営分社化によって振り分けられた。


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  • 東京霞ヶ関の本社社屋は日本郵政が所有。
  • 支社社屋および社宅については郵便局会社が所有。
  • 郵便局舎については郵便局会社が所有しているが、日本郵便の支店のある郵便局舎は郵便事業株式会社が所有している場合もある。郵便事業株式会社が所有する郵便局舎については郵便局会社は勿論、併設するゆうちょ銀行・かんぽ生命直営店は所有する日本郵便の支店に家賃・光熱費を払って入居しているかたちをとっている。
  • 貯金事務センター・郵便貯金地域センターは、ゆうちょ銀行が所有。
  • 簡易保険事務センターは、かんぽ生命が「サービスセンター」と改称して引き継いだ。
  • 逓信病院および宿泊施設は日本郵政の所有となった。

[編集] 郵政民営化に対する意見

[編集] 行政改革効果

国鉄、電電公社、専売公社の民営化を上回る戦後最大規模の改革とも謳われ、その主たる目的は財政投融資を廃止することとされている[要出典]。これにより、約340兆円という潤沢な郵貯資金を特殊法人などに代表される政府機関ではなく、個人や民間企業に融資できるようにすることで、日本経済の活性化が図れるとされている。加えて、これまでは免除されていた法人税・法人事業税・固定資産税・印紙税や郵便事業会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険から郵便局会社に支払われる委託手数料にかかる消費税、民営化会社の株式を政府が売却することで得られる収益によって財政再建も図れるとしている。

しかしながら、これまで郵便貯金は国債の最大の引き受け手であり、民間の金融機関と違い長期的に保有することで国債を大量に発行できていた側面があるため、ゆうちょ銀行の引き受け額が減少すると国家財政が破綻する危険性が高まるのではないかと不安視する意見もある。他方で、小泉内閣発足後に財務省が個人向け国債の販売を開始していること[22]や、政府機関等が民間金融機関から貸出を受けたり 債券を購入してもらっていることなどから、財政投融資を廃止しても実質的には同様の効果が存続するのではないかと疑問視する声もある。

自民党は2005年の郵政選挙の際、約26万人いる郵政公社の常勤職員が民間人になれば、その分の政府負担が減少すると試算し、「郵政民営化によって公務員が削減され財政再建につながる」と主張した。しかし、郵政公社は独立採算であるため職員の給与などに税金は一切使われておらず、公社職員を民間人にしても政府は人件費負担を抑えることにはならない。郵政民営化法成立後、このことは一般に広く知られるようになった。ただし、民間人になることで人件費を経営陣が調整できるようになるという利点も挙げられる。

また、民営化しなかった場合には、郵政公社が長期的にみて全体として赤字転落するとの試算があり[要出典]、これを理由として民営化による業務効率化・合理化を求める声もある。事実、郵便引き受け数は2001年をピークに減少している。しかし、2004年度末においての郵政三事業は、長年赤字であった郵便事業も含めそれぞれ黒字になっていた。

2003年4月1日に公社化された際に「5年間の成果を踏まえた上で民営化を論議する」という先送り論が出たがこれは無視された。また、後述のような外国の例を挙げて、民営化賛成派はドイツを、反対派はニュージーランドの例を挙げていることが多かった。

[編集] 事業合理化の可能性

JRでみられた赤字路線の廃止・転換の様に、過疎地等の不採算地域での特定郵便局の廃止・統合などサービスの打切り・後退の可能性が指摘されている。これについては、民営化後に発足する郵便局会社に対して、郵政民営化に関連する法律や総務省令では、過疎地でのサービス水準を維持するよう義務付けるなど、一定の歯止めをかけている。これに対して、日本郵政の西川善文社長や郵便局会社の川茂夫会長は報道機関によるインタビューの中で、ゆうちょ銀行・かんぽ生命はそれぞれ郵便局会社との長期的な代理店契約を結ぶことで、現在の24,000局という郵便局ネットワークは維持されるとしたうえで、両社の完全民営化の前に収益性の低い郵便局からの業務委託停止・撤退は無いとの考えを示している。

その一方で、民営化前から巨額の赤字を抱えていた国鉄と郵政事業を単純に比較できないとの主張も存在する。ちなみに、電電公社民営化の際も、過疎地で電話が利用できなくなるのではないか、といった反対意見が出された。国鉄では6つの地域会社と貨物会社に分割民営化されたが、郵政三事業では事業ごとに分割民営化し地域ごとの分割は行われない。これは郵便事業は鉄道事業に比べて日本全国均一のサービスを行うことが重要視されているためである。また、国鉄分割民営化と異なる点として、郵便事業ではライバルとなる民間企業が、過疎地や離島などでも宅配便やメール便のサービスをすでに実施しているため、郵便が営業範囲を縮小したとしても信書を除いて他の民間企業がその減少分をカバーできるとされている。しか し、貯金・保険事業については、利益が見込めないなどの理由により郵便局以外の金融機関が元々なかったり、経営合理化などによって撤退された地域では、国鉄民営化で発生した「鉄道空白地」と同様に「金融空白地」が出来るのではないかと警戒を強めている。

郵便局の廃止に関しては、現実にいくつかの郵便局が廃止されており[23]、簡易郵便局においては、民営化直前に一時閉鎖や貯金・保険業務の廃止が相次いでいる。しかし民営化後は局数も増加し[24]、郵便局の数という点では利便性が高まっている。民営化の前にも簡易郵便局の減少を危惧した日本郵政公社が、2007年1月から受託料の40%~50%弱引き上げ、窓口端末や防犯カメラなどの設置費用の公社負担などを実施していたが、あまり成果を上げることができなかった。これは、民営化によって効率が上がったわけではなく、当時、簡易郵便局の主要な引き受け先である各地の農協の統廃合や、個人受諾者の高齢化などに加え、簡易郵便局が民営化に伴い、業務内容や設置方法等が大規模に変更され、法的根拠のある受託業務は郵便事業のみとなったことにも起因している。民営化後に新規に簡易郵便局を設置する場合、銀行業務と保険業務を受託することが非常に困難になる(詳細については簡易郵便局#郵政民営化 と簡易郵便局にて記述)。また、民営化後は設置者によっては一般の利用が不可となるケースがある。これらを危惧した自治体が、実質的に自ら簡易郵便局を開設する動きもある。

ただし、郵便局会社も民営化前のサービス水準を維持させるため、市町村合併により使用されなくなった公民館や役所など、道の駅、警備会社が別荘地などに設置している出動拠点、鉄道の無人駅(駅長と局長を兼務する形態・JR東日本との提携を検討中[25])などへ簡易郵便局を新たに設置する構想を打ち出している。また、災害発生時に被災地に対して派遣される「移動郵便局車」の台数を増やし、日本全国で一時閉鎖されている約400局の簡易郵便局の機能補てんを行うため、近隣に郵便局がない地域での定期巡回を行う考えも示している(民間の金融機関でも移動銀行窓口車を保有しているところがある)。加えて、特定地区にあるいくつかの簡易郵便局を郵便局会社の従業員が定期的に巡回し、時間帯や曜日を限定した営業を行う「定期開局」の導入も視野に入れている。また、グループの持株会社である日本郵政により、過疎地の郵便局ネットワーク維持のため、赤字補てんを目的とした1兆円(最大2兆円)規模の「基金」も設置されている[26]

郵便事業に関しては、分社化による業務管理等の問題から旧公社時代より段階的に集配郵便局を再編した。例えば、東京、鹿児島、沖縄の一部離島では、従来島にある郵便局ごとに行っていた集配業務を、本島の支店が設置した集配センターや隣接する島にある支店に統廃合した。また、山間部を配達する従業員は新聞社から委託を受け新聞と郵便の配達を併せて行っているが、配達が昼過ぎになってしまうことから住民からは不満の声が上がっている[27]。過疎地の集配センターでは従業員の数が削減され、郵便物の配達時間が遅れたりするケースも出てきたり、非集配局への降格のためにゆうゆう窓口が廃止されるところも発生した。「書留やゆうパック等の当日再配達の受付締切時刻が大幅に短縮され、日中留守にする家庭では事実上再配達が翌日以降になってしまう」「ポストの郵便物収集回数が1日1回となってしまった」「ゆうゆう窓口を利用できない」などの声もある。 またゆうパックの集荷機能が弱体化した結果、他の運送事業者へ切り替えざるを得なくなった事例も報告されている。[28] 一方で、一部支店では書留やゆうパックの配達開始時間を早朝から始めたり、集配センターから支店を経由せず配送するようになった地域では、従来より郵便物の届く時間が早くなっている事例もある。なお、より一層の業務合理化を目指すため従業員数の大規模な削減と契約社員化が報道されている[29]


ポイントを何を買っている

貯金事業に関しては、料金区分が変わったため一律ではないものの、おおむね各種手数料が値上げとなっているのは、民営化により民間の銀行と同じく印紙税を負担しなければならなくなるための措置である。また、従来は採算度外視ともいえる料金だった普通為替の手数料も値上げされており、定額小為替では1枚あたりの発行手数料が従来の10円から100円となったため、為替の額面金額と同額またはそれ以上の手数料がかかる場合が発生している[30]。これらの価格改定については、旧公社は民営化前より告知していた[31]。また、旧公社時代より現金自動預け払い機(ATM)の撤去計画を進めており、ATMの夜間・土日利用にサービス手数料を課金する動きもある。

これまで禁止されていた郵便局舎・庁舎の賃貸業務が可能となることから、いわゆる「一等地」にある都市部の郵便局を再開発し、高層ビルなどに建て替えたり、集配郵便局の再編により窓口業務のみとなった無集配局において、従来は集配業務に充てていた場所を活用し、コンビニなどのテナントを誘致することなどができるようになり、賃貸収入が得られるようになる、といった利点が論じられている。すでに、一部の郵便局内には「ポスタルショップ」として、ローソンやam/pmなどのコンビニが出店しているほか、印刷などを請け負う「ポスタルスクウェア」の出店も進んでいる。しかし、この動きに対して、建築学的に貴重な局舎が安易な再開発によって失われるとの懸念の声もある[32]

[編集] 分社化の影響

民営化によって、3つの事業会社と窓口会社に分割された。従来から、電子メールなどの普及により発生している郵便事業の損失分を、郵便貯金・簡易保険の収益で補う、という不透明な会計が行われてきたことから、分社化により郵便事業の事業合理化が期待されている。すでに、国際スピード郵便の利用を企業に対して積極的に促すなど、郵便事業本体の収益性を高める取り組みに加え、Japan Post Systemの導入による集配業務の生産性向上を目指した取り組みも行われている。また、日本郵便が日本通運と宅配便事業の統合も視野に入れた、包括的な業務提携を結ぶことで合意しており、「ペリカン便」と「ゆうパック」が手を組むことで、互いの長所を生かしあいながら、業界内での競争力を高めようとする動きもみられている。しかし、一方で手紙・はがきといった郵便物を、適切な料金で全国一律に配送するユニバーサルサービスの維持も続けなくてはいけないため、合理化と公的なサービスとの両立が課題となっている。

事業ごとに分社することは、かえって非効率化やサービスの低下になるのではないかという考えもある。例えば、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の直営店が設置される各地の中央郵便局などの大規模な局舎で、担当会社ごとに仕切りを作る内装工事が行われたり、ATMが郵便局会社とゆうちょ銀行で分担して管理が行われているために、備え付けられている封筒を郵便局会社とゆうちょ銀行で違うものを用意したりなど、これまでと比べて業務ごとの区分が厳密になる。分社化によって従業員が取り扱える業務はそれぞれが所属する会社の業務のみに限られるため、これまでは郵便の配達員に年金の受け取りや簡易保険の保険料納付を頼むことなどもできたが、このような会社間をまたぐ業務の取り扱いが不可能になる。また、時間外窓口は、� ��営化後は日本郵便による取り扱いとなるため、通常の取扱時間の窓口(郵便局会社の取り扱い)と受けられるサービスに差が発生することが考えられる。

なお、国鉄分割民営化では、それまで全国1社で行われていた事業が地域ごとに分割されたため、複数の会社間をまたがって走行する列車では直通便の削減や会社境界ごとに運行区間の分割などが行われた。例えば、直通列車がなくなったことで乗換を余儀なくされ、それが原因で利用者が減少したにもかかわらず、利用者が少ないという理由で減便・廃便されたという見方も存在する。

民営化法案では、民営化後10年以内(2017年9月末まで)にゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を完全に売却することが定められている。このため、郵便局においてはこれまでのゆうちょ銀行とかんぽ生命との事業に制約されない新たなサービスを期待する意見がある。例えば、既存の金融機関や保険会社が郵便局の窓口ネットワークを活用できるようになるといったことである。すでに首都圏にある一部の郵便局では、損害保険会社の自動車保険を「損害保険代理店」として受託販売している[33]

その反面、直接の資本関係が断たれるため、これまで全国どこでも郵便局に行けば受けられた郵便貯金と簡易保険の業務を郵便局が必ずしも受託しなくても良いということにもなり、特に貯金業務・簡易保険業務に関して、採算の取れない地域では郵便局があってもサービスを受けられなくなる可能性があるのではないかという意見も根強い。

[編集] 外国資本の影響

郵政民営化に対しては米国からの強い要求も存在した。 2004年10月14日に公表された「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(略称:年次改革要望書)には日本郵政公社の民営化の要求が明文で記載されている。米国政府は要望書で自国保険業界の意向に沿う形で「簡保を郵便事業から切り離して完全民営化し、全株を市場に売却せよ」と日本に要求している。郵政民営化について政府の郵政民営化準備室と米国政府・関係者との協議が2004年4月以降18回行われ、うち5回は米国の保険業界関係者との協議であったことを2005年8月5日の郵政民営化に関する特別委員会で大門実紀史参議院議員の質問に竹中平蔵郵政民営化担当相が答弁で明らかにしている。さらに2005年3月に発表されたアメリカ通商代表部 (USTR) の「通商交渉・政策年次報告書」には、2004年9月に閣議決定した「内閣の設計図」(小泉内閣の基本方針)に「米国が勧告していた修正点が含まれている」と述べられ、米国政府は米国の勧告で郵政民営化法案の骨格が書き換わったことを公文書に記載している。

国民新党は公式サイトにおいて、ハゲタカファンドによる350兆円の資産強奪が目的であり、米国ではわが国に民営化を押し付けておきながら、自国では国営の郵便事業を守り続けている 郵便庁に勤務する約86万人は公務員で、大統領委員会は今後も公的機関が郵便事業を行うのが望ましいと結論づけている。「公営は時代遅れ」という言葉が、わが国の虎の子、国民の財産である350兆円を奪うための虚偽宣伝であることは明白との見解を発表している。2005年の「郵政解散」翌日のフィナンシャル・タイムズにも「日本はアメリカに3兆ドルをプレゼント」と題する記事が掲載された。

そうした「郵貯が外資に乗っ取られる」とする意見に対し、高橋洋一は「そのようなことはあり得ない」と反論している[34]。その理由として、郵貯は民営化により銀行法上の銀行になるが、銀行には三つの主要株主規制があるからだとしている[34]


[編集] その他

金融不安に対する懸念の指摘の解りづらさ
全国規模での金融・保険事業に対する懸念として、郵便貯金が金融破綻に陥った場合における貯金者の資産保全の不安定化などが民営化反対論者から指摘されている。また、民営化による資本の流動化によって、あわせて約350兆円の資金を持つゆうちょ銀行・かんぽ生命に対しての外資系バイアウト・ファンド(俗に言うハゲタカ・ファンド)による買収も今後の課題の一つと指摘されている。これについては、特にアメリカの外資系による買収が最有力と考えられるとのことである。この理由として郵政民営化自体がアメリカ通商代表部から日本政府へ毎年出される年次改革要望書において長年一貫して要求されていた事項であるという点があげられている。ゆうちょ銀行が海外の社債や国債の運用額を大幅に増やしていると指摘され 、また、為替リスクの増大を懸念する意見がある。また郵政民営化が進む中で郵貯資金が幹事会社であるゴールドマン・サックスを通じて、日本から欧米へ資金流出しているとして問題視する意見も反対論者が指摘する。この様な意見は郵政民営化反対の議員等からたびたび述べられるが、買収は、外資による日本の企業の株式の購入である。また、資金流出の話は、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の資金の運用の話である。海外からの買いの話と、海外資産の日本からの買いの話を混同していると思われ、単にアメリカ発の郵政民営化であると印象付ける為に繰り返されていると考えられている。
公正取引委員会からの分割勧告の可能性
4事業の4会社への民営化案は業務別のものとなっており、国鉄のように地域的には分割されないため、民営化が実現した後に、公正取引委員会が新会社の分割を勧告する可能性が懸念されている。
経済界との癒着
日本郵政グループの持株会社となる日本郵政には小泉政権の聖域なき構造改革で中心的な役割を担ってきた奥田碩、牛尾治朗、奥谷禮子、丹羽宇一郎らが社外取締役に名を連ねており、経済界との癒着を、また、三井住友銀行や住友生命、三井生命といった三井住友系の企業から従業員を出向させるなど日本郵政の西川社長の出身母体である三井住友フィナンシャルグループとの癒着を指摘する声もある[35]
民間企業との競争促進
民間企業が民営化会社をライバル視し、全体的に競争することでサービス水準が向上するとの意見がある。例えば、ゆうちょ銀行のATM手数料が無料であるのに対抗し、多くの地方銀行や信用金庫が手数料無料化を実施、あるいは実施に向けて検討している。
また、不在時に配達された書留やゆうパックについては、身分証明書を持参すれば担当郵便局にて深夜でも受け取ることができることから、民間企業でもコンビニや事業所で受け取りができるサービスを開始した所もある。
ファミリー企業との癒着打破
民営化により、郵政官僚の天下り先と考えられている「ファミリー企業」との不透明な関係を断ち切れると論じる専門家がいる。しかし、公社化によりファミリー企業の数が減少していること、民間企業でありさえすれば「ファミリー企業」が無くなるとは限らず、却って公的な立場からの抑制ができなくなり、よりその弊害が大きくなることも予想され、民営化の利点として取り上げるのは不適切であるといった見方もある。

[編集] 国民に対する告知

全ての広告媒体において、モデルの吉村美樹をイメージキャラクターに起用していた。

[編集] テレビ

当初は、郵便局のCMの終盤で少し告知する程度や、民営化・分社化の準備として行われた2007年5月4日~5月6日のオンラインサービス休止前に、告知CMを流した程度にとどまっていた。ナレーションは倍賞千恵子が担当した。

その後、民営化が2ヵ月後に迫った8月中旬ごろから、「〒10.1 もうすぐ民営化」と題した、郵便局(郵政サービス)は民営化後も従来通り利用できることを伝えるCMを放送し、民営化直前となった9月中旬ごろからは、9月30日のオンラインサービス休止の告知CMと、JR各社や日本たばこ産業発足時のように新会社を周知させる、「ひとりを愛せる日本へ。」と題した、日本郵政グループの企業CMを放送していた[36]

[編集] 新聞

2007年7月1日には、全面広告「〒10.1 もうすぐ民営化」が、8月16日には、民営化・分社化についての情報を詳細に説明した全面見開き広告が、全国紙・地方紙にそれぞれ掲載された。9月18日には、「ひとりを愛せる日本へ。」と題した全面広告を掲載し、民営化についての意気込みを紹介した。

[編集] パンフレット・チラシ

2007年8月17日から順次、全国の家庭・事業所に対して、民営化についての情報をまとめたパンフレットが配達された。発送部数は全体で5,756万部(日本郵政公社発表)となった。また、簡易生命保険の契約者に対しても、民営化についての情報をまとめたパンフレットが配達された。郵便貯金の契約者に対してはパンフレットは配達されなかったが、簡易生命保険用のパンフレットと共に郵便局に置かれていたため、自由に受け取ることができた。

加えて、民営化後の郵便サービスについての情報をまとめたパンフレットや、郵政サービス全体についての情報をまとめたチラシ、ゆうちょ銀行のサービス・手数料についての情報をまとめたチラシも置かれていた。

[編集] インターネット

公式サイトでも民営化・分社化について詳しく説明されていた[37]

[編集] 諸外国の郵政事業の動向

郵政民営化においては郵便事業の民営化と郵便局の金融業の民営化が存在する。

[編集] ドイツ

ドイツの郵政民営化は日本とは異なり、主に郵便事業の国際化を企図して行われたものである。EU圏成立後、増大する同圏内での小荷物輸送(宅配便)の需要に応え、ドイツ国内を超えた事業展開をより容易にするため、小荷物部門についてはとくにDHLとして別会社化し、グローバルに展開している。小荷物以外の軽量郵便については、ドイツポストに独占権が認められている。民営化後、直営の郵便局数が約5000まで激減したため社会問題化した。

一方、貯金部門の民営化については混迷を極めた。当初は郵便事業、銀行事業と二分割する予定であったが、民営化された郵便銀行が、85%の郵便局から撤退を表明したため、ふたたびドイツポストの子会社化せざるをえなかった。ドイツと日本の郵政民営化は経営の民業化にとどまらず、その実、株式や資産をも放出するという世界でも珍しい私有化政策(払い下げ)ではあるが、ドイツでは政府がまだ50%程度は株式を保有している。また、連邦制を施くドイツでは、貯蓄銀行制度において連邦政府が経営する郵便銀行(Postbank)が占める割合は小さく(12%程度)、貯金の大半は州政府など各地方自治体が運営する貯蓄銀行(Sparkasse)に預けられている。[38]この貯蓄銀行は原則公営であり、街の角々に支店があり、日本のかつての郵便貯金と同じ役割を果しているのはこちらである。大都市の貯蓄銀行にはわずかながら私立のものもあるが、金融不安や経営悪化を背景に次々と公営化されていっており、貯蓄銀行については公営化が進んでいるといえる。[39]一般に、ドイツの銀行界では公営銀行(州立銀行、貯蓄銀行)が占める割合が高く、民間銀行は日本でいえば証券会社に当たる、富裕層を対象にした投資銀行であることが多い。

[編集] イギリス

イギリスでは、窓口会社、郵便会社、小包会社といったように分割されている。貯金事業は独立行政法人の郵便局とは全く別のナショナルセービングにより運営される。ナショナルセービングは店舗を持たず郵便窓口会社に業務を委託する形をとる。いずれも株式は発行しておらず100%政府の所有である。英国のトニー・ブレア首相は日本の小泉純一郎元首相が郵政民営化に熱狂してる様子を見て、「日本だけが逆行していますね」と語った[40]と郵政民営化に反対する新党日本のページで引用されているがそのソースは定かではない。競合他社との激しい競争により郵便会社や小包会社は必ずしも順調な経営状態ではない。

[編集] スイス

スイスでは、連邦政府郵政省によって運営されている。ユニークなものとしては郵便バスの存在があげられる。これは、郵便物をバスで輸送し、そのバスに一般の乗客も有料で乗車できるというものである。


[編集] アメリカ合衆国

アメリカ合衆国には、かつて郵便貯金の制度が存在したが廃止された。廃止直前には利用者が減少傾向にあり、ATM等のオンラインシステムが発達する前であったのでそれほど混乱は生じていないとされる。アメリカ合衆国では口座維持手数料を設けることが一般的で低所得者層を中心に金融機関に口座を持っていない人が少なくない。民営化批判論者からよく反対論として指摘されることである。郵便事業については公共企業体(USポスタルサービス)により運営。郵政事業を民営化するという法律案はこれまでに2回提出されたがいずれも成立せず、2002年には「一律サービスを民間で行うのは不可能」と結論付け、事実上郵政民営化は断念した状態となっている。

[編集] ニュージーランド

ニュージーランドでは、1987年に政府の行財政改革の一環として、これまで郵便・郵便貯金(金融)・電気通信の3事業を取り扱ってきた郵便事業省の、民間企業への売却を前提とした分割・公社化が行われた。郵便貯金事業を担っていた「ポストバンク」は1989年にオーストラリアのオーストラリア・ニュージーランド銀行グループに売却された。この結果、公務員数の削減、郵政事業への税金投入の全廃を達成した。また、独立採算制と民間の参入の自由化により効率化を迫られた郵政公社は、徹底した経営の効率化を迫られ、郵便窓口の外部委託(薬局や書店が兼業)や配達業務の外部委託(入札制)などを採用し、郵便料金の長期据え置きを実現している。郵便窓口業務を民間委託しているため、営業時間の延長や顧客態度の向上な� ��大幅にサービスは向上した。また、郵便窓口数(店舗数)は政府との合意により最低窓口数規定を取り決め、実際には最低窓口数より多くの窓口を開設している。しかし一部の農村地域等では金融業務、郵貯業務を持たない金融空白地帯を生じた。これにより国民から郵貯の復活を求められニュージーランド労働党と旧連合党の連立政権は2002年に旧郵便事業を担ってきた公社化された「ニュージーランド・ポスト」に対して、郵便局の窓口を利用した金融機関「キーウィ銀行」を100%子会社として設立させた。

[編集] オーストラリア

オーストラリアでは、1989年に公社化されたオーストラリア郵便公社(以下ポスト)が運営する。競争事業者の250グラム以内の信書便はポストの4倍以上の料金を請求する規制がある。ポストは小荷物、銀行や政府の窓口業務受託、文房具・包装用品などの分野で規制のない競争関係にある。売却が議論されている。


[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • 松原聡 『超ダイジェスト これならわかる!「郵政民営化」』 中央経済社、2005年11月。ISBN 9784502595301
  • ガバン・マコーマック、「属国 米国の抱擁とアジアでの孤立」、2008年、凱風社、58,75,80~82ページなど

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