2012年4月8日日曜日

ファイナンシャルプランナーブログ マイホーム購入のエトセトラ: 住宅購入アドバイス アーカイブ


買ってはいけない物件

あけましておめでとうございます。
独立してから3回目のお正月を迎えました。今年もより一層飛躍したいと思います。
本年もよろしくお願い申しあげます。

さて昨年末、私は"今は買い時"であると述べました。
そして同時に"物件の見極めが必要である"とも述べました。

今回は、ちまたに溢れる値引き物件について、どのように物件を見極めて購入すればよいか、
つまり"単に残るべくして売れ残っている劣悪物件"をどうしたらつかまされないか、
さらに端的に述べると、"いくら安くても買ってはいけない物件"について
その簡単な見極め方法についていくつか述べようと思います。
以下の3つが簡単に見極められる、西澤が考える「買ってはいけない物件」です。

1.平均面積よりかなり小さい住戸
  2LDKで60㎡未満、3LDKで70㎡未満、4LDKなら90㎡未満の物件
 →ここ1~2年の不動産価格上昇に伴い、価格を据え置き、その分面積を小さくしている間取りは
  マーケティングからはずれた広さです。つまり将来の流通性に影響を及ぼす可能性が大です。

2.住宅性能評価書を取得していない物件や「フラット35」が利用できない物件
 →「フラット35」を利用するためにはその物件が「適合証明書」を取得していることが要件の一つです。
  この条件に合わない物件が即「良くない物件」というわけではありませんが、いずれも購入検討者に
  建物の構造や性能について客観的指標を与えるものですので、売主の誠意として、
  今のような時代にはこうした見えにくい部分についての情報開示の姿勢を提示していただきたいと
  思うわけです。

3.建物竣工時に総戸数の半数以上が、
  もしくは入居開始から1年経過後も総戸数の1割を越える住戸が未契約の物件。
 →これはあくまでも目安ですが、結局のところこの目安を超えて売れ残っている物件は、
  はっきり言って明らかな"不人気物件"です。
  いくら不動産不況とはいえ、新規の販売時にこれだけ低迷した販売状況ですと、
  将来の流通性や資産価値に多大な影響を及ぼす可能性が高いと言えます。
  ちなみに何戸売れているかは、販売担当者の言う数字を鵜呑みにしてはいけません。
  必ず現地を確認しましょう。
  バルコニーを見て、エアコンのスリーブが外壁に出ていない住戸や
  物干し金物に物干し竿がない住戸は入居者がついていない可能性が高いです。
  こうした住戸を数え、実際の入居率を割り出しましょう。

これに加え、値引き額が当初の価格から坪単価で40万円以上に達したら要注意です。
これは例えば75㎡前後の3LDKなら約900万円程度の値引に相当します。
買手にとってはこれだけの値引きはかなりの魅力になりますが、
集合住宅であるマンションにおいて、これだけの価格差は、
入居者層の違いによる価値観や経済観念の違いなどの各種弊害を導く可能性があります。
特に建物の修繕や建替えの検討にあたっては、この弊害が顕在化することでしょう。
そのため、購入価額に大きな差が生まれるような販売状況の物件は購入すべきではないでしょう。

以上、私の考える判断基準です。
ただ、「買ってはいけない物件」の基準には、さまざまな価値観や意見が存在することでしょう。
ご意見やご質問のある方は、ぜひ個別にお問い合わせ下さい。お待ちしております。

住宅購入のタイミング

前々回、マンション市況や金利状況などから、今は買いどきであると述べました。
また、それ以前には「新婚家庭の住宅購入は勧めない」とも述べました。
では、ライフプラン上、どのタイミングが最も住宅購入に適しているのか、
今回はそれについて私の考えを述べたいと思います。

結論から先に述べますと、それはズバリ「第一子の小学校入学直前」です。
また、子どもの予定のない夫婦については「結婚の2年後くらい」だと思います。
そしていずれの場合でも500万円以上の自己資金が用意できていることが前提です。

その理由は以下のとおりです。
まず子どもがいる場合について。
1.子どもが転校する必要が無くなる。
2.第一子が6歳になる頃には、多くの場合子どもの数のめどがたっている。
3.産休、育休などを取得し仕事を続ける場合、既に復職の可否がはっきりしている。
4.子どもを含めた家計が把握できている。
5.子どもの進路についてある程度予定が見えてくる。

次に子どもの予定がない場合について。
1.2年生活すれば夫婦のお金の使い方や住宅についての価値観が互いに把握できる。
2.奥様の働き方についてめどがたつ。

いずれも住宅購入に際して、
将来の家計の推移をある程度見据えて、予算やローンを決める必要があることを意味しています。
子どもが何人、どのタイミングで生まれ、男女の別や健康状態などが不確定では予定がたちません。
また、共稼ぎするかしないかも重要な要素ですが、その可否は、子どもが生まれ、
復職までこぎつけないことには判断がつきませんし、
子どもがいないのであれば、結婚後、数年生活してみなければ、
奥様の働き方の判断はできないと思います。
かといってあまり先延ばしすると住宅ローンの借入年数が短くなり、借入額に影響を及ぼします。

最後に500万円以上の自己資金が必要な理由について。
1.購入に際し、一般的に150万円前後の諸費用が必要。
2.大手不動産会社を中心に、最低でも物件価格の5%~10%の手付金を支払う必要がある。
諸費用ローンや100%ローン(物件価格の全額を借入するローン)を
利用することが可能ではありますが、購入者にとっては入居した瞬間から家計が債務超過となり、
リスクが大きいため、私はまったくおすすめしません。

しかし家計は100家庭あれば100通りですので、
このタイミングが全ての家庭にとってベストとは限らないことも事実です。
また、私のところに相談にこられる方も、またかつてマンションの販売をしていた時も、
私がベストと考えるタイミングで購入を検討している人は、実はあまりいらっしゃいませんでした。
ですからこの仮説が正しいのか、なかなか検証できずにいます。
でもあえてこの仮説を述べる意味は、
住宅購入時に将来の子どもの教育方針や奥様の働き方などをよく考え、
予測を立て、計画的に購入してもらいたい、という願いです。
もし考え方の糸口がつかめない方や、よくわからない方がいらっしゃいましたら、
ぜひ相談にお越しください。

物件との運命的な出会い

ここ最近、住宅購入のタイミングや買い時について、
そしてどんな物件に注意するかについて述べてきましたが、
今回はちょっと理屈を離れて、非常に感覚的なことについても書いてみようと思います。

実は最近、私はとあるマンション建設予定地が気になって仕方がありません。
まだ建築が始まったばかりで、住宅情報誌やネットにも一切情報が出ておりませんが、
建築看板には、事業主としてある大手不動産会社の名前がありますので、
おそらく分譲マンションが建設されるのではないかとワクワクしております。

その予定地は始発電車のある駅を南にもつ駅前立地で、近くには大規模商業施設もあり、
通勤にも生活にもとても便利です。
そのうち詳細がはっきりし、納得のいくものでしたらこのブログでご紹介したいと思うのですが、
私としたことがその土地だけを見て、配棟計画も間取りもわからないのに、
ここに建つであろうマンションが欲しくてたまらなくなってしまいました。
我が家は持ち家ですし、買い替え予定はまったくありませんが、
私はこの物件を手に入れたくて仕方がありません。
そのため、普段はあまりにリターンの見込みが少ないため
手を出すことの無かった宝くじすら購入してしまったほどです。
案の定、はずれて1割しかバックがありませんでしたが。

これまで物件の選び方やら見極め方など、理屈を並べてきましたが、
これほどまでに気に入ってしまう不動産に出会うと、
不動産との出会いは人との出会いと一緒で一期一会、
理屈を超えた、ある部分フィーリングなのだな~と改めて感じました。
確かに不動産は人間と同じで二つと同じものはありませんし、100点満点の物件はありません。
よって、"いいな!"と感じられる物件に出会い、
そこに住まう自分をイメージした時に嬉しくなるような経験が出来るのは貴重なことです。
冷静になってメリット、デメリットを整理し、自分の希望条件に照らし合わせてみることも大切ですが、
最初はもっと感覚的に惚れ込める物件を探してみるとよいのではないでしょうか?

ちなみに私は独立開業する際、事務所となる物件を数々見て回りましたが、
現在のオフィスである御茶ノ水の物件に出会った時、非常に大きな衝撃を感じました。
一目で惚れ込んでしまい、この物件を借りることを申込んだ日は帰りの電車の中で終始ニヤニヤし、
夜は一睡もできないほど興奮しました。
今でもこのオフィスを維持するためなら多少の困難は乗り切れると思っています。
みなさんもぜひこのような物件との運命的な出会いをしていただきたいと思います。
そうすれば仕事や日々の生活に張り合いが生まれ、人生が豊かになると思います。
また、多少の予算オーバーや困難も乗り切れるかもしれません。
FPらしからぬ見解ですが、住宅選びの醍醐味はやはりここにあると思う今日この頃です。

売主が"倒産"したら・・・?

先日、日本綜合地所が会社更生手続き開始を申請、受理されました。
またしても不動産会社が"倒産"したわけです。
昨年から続く不動産業界の相次ぐ"倒産"は、
そのわずか半年から1年前までは業績が好調であったにも関わらず、
突然かつ急激に業績が悪化し、あっという間につぶれてしまうという衝撃的な事態となっています。
よって、相談に来られた方から、自分の購入したマンションの売主は大丈夫かとよく聞かれますが、
こうした状況下ゆえに非常に難しい判断です。
ここまで不動産市況が低迷してしまうと、どこの会社も少なからずリスクがあるからです。
ただ、日本綜合地所については、数ヶ月前に新入社員の内定取消を行なっておりましたので、
兆候はあったわけです。しかしそれでも実際に"倒産"してしまうと、やはり衝撃を感じざるを得ません。

さて、では購入した物件の売主が"倒産"するとどうなってしまうのでしょうか?
それは"倒産"の状況と、タイミングによります。

まず、一口に"倒産"といっても、その手続きにはさまざまな方法があります。
大きく分けると2通り。ひとつは「会社更生法」や「民事再生法」の適用を受けるなど、
事業の再建を目指す場合と、もうひとつは「破産」や「清算」、「廃業」など事業を存続せず、
会社が消滅する場合とに分けられます。
前者の場合、基本的に会社は存続しますので、建物が完成しているか、
もしくは完成を目指すことになれば、"倒産"前と同様の対応となり、
物件は引き渡される可能性が高いといえます。
一方、後者の場合には、会社は消滅しますので、場合によっては建築工事が中止となったり、
完成済み物件についてもアフターサービスや瑕疵担保責任の追及先を失うことになります。

またタイミングによって状況を分けることになるポイントは、建物が完成しているか否か、
そして完成を目指すか否かです。
建物完成前なら、手付金を放棄して売買契約を解除することもできますし
(場合によっては違約金を求められる場合もありますが)、
また、もし建設が中止されたなら売買契約を解除したり、手付金等の保全措置により、
手付金は戻ってくる可能性が高いです。

よって、引渡し後に売主が破産や廃業などにより消滅してしまうという最悪の事態に備え、
「瑕疵担保責任の履行に関する措置」を講じている(保険加入や保証金の供託など)物件を選ぶか、
今年の10月以降に引き渡される新築物件は、この措置が義務付けられるため、
そうした物件を選ぶとひとまず安心です。
また、建物完成前に売主が破綻し、手付金が戻ってこない事態に備え、
手付金等の保全措置を受けておくことも重要です。
建物竣工前に契約を締結する場合は、売買代金の5%を超える額、建物竣工後は10%を超える額、
もしくはいずれも1,000万円を超える額を手付金として支払う場合に手付金は保証されます。
特に契約から引渡しまで半年以上の長期間を有するような場合には、
仮に売主から「手付金は5%以下でよい」と言われたとしても5%超支払って、
保証してもらった方が安心です。

買っていい人は限られる!

相変わらずマンション市況は低迷していますが、購入検討者は依然として数多く存在し、
また以前にも増して購入意欲が増しているように感じます。
価格上昇や不動産会社の倒産など、購入に踏み切りづらい状況が続いていますので、
結果"様子見ムード"が蔓延してはいるのですが、
それでも状況の好転を待ちに待っているような雰囲気を感じます。
また、"様子見ムード"の中にあっても、
その購入意欲がやや過剰に思えるケースが多々見受けられます。
そこで今回はそのやや過熱気味の購入意欲に少々水を差してみようかと思います。


私は家を購入について何を知っておくべき

こんなにひどい不動産不況なのに、購入意欲に水を差すなど、
なんてことをするのかと不動産会社からはクレームがきそうですが、
購入者にとっては熱くなりすぎての"衝動買い"は最も危険ですから。

さて、これまで私は「住宅は誰でも購入できるわけではない」という主旨のことを
様々なタイミングで述べてきました。
私のところに相談に来られる方のみならず、世の中の住宅購入検討者は
住宅ローンさえ貸してもらえれば誰でも住宅を買うことができると思っているようです。
しかも、最近では苦戦を強いられているマンションが増えているため、
モデルルーム等販売の現場では、異常に低い変動金利をエサに、
多額の借入と身の丈を超えた購入を強く勧める傾向が強まっています。
そのため、最近では「住宅は誰でも購入できるわけではない!」と言ったところで
「中にはローンが組めない人がいるからね・・・」とか「収入が低いからよ・・・」とまるでひとごとで
何の警告にもならなくなってきました。

よって、これからはあえて「住宅を買ってもよい人は限られる!」と言いたいと思います。
つまり住宅を買ってもよい人とは、数々の条件をクリアした選ばれた人なのです。

住宅ローンの事前審査で承認が得られれば、確かに購入自体は可能かもしれません。
また、相当の収入さえあればマイホームを持つ事は当たり前、
もしくは容易いと思われるかもしれません。
しかし、住宅購入はそんなに甘いものではありません。
もっとシビアに考えましょう。もっと事前に準備しましょう。そしてもっと冷静に自己分析しましょう。

と言ってみてもピンとこないことでしょう。
というのも世の中には住宅を売る側の情報、
つまりマイホーム購入のメリットや成功例ばかりが溢れていて、
なかなか住宅購入の失敗例に触れることはないからです。
そこで次回からシリーズで、住宅購入の失敗事例をもとに、
住宅購入検討にあたっての「要注意人物例」をご紹介します。

「耳が痛い」と言う方が少なくないとは存じますが、
誰か1人くらいはリスク喚起する人がいてもよいはずです。と、いうことで乞うご期待!です。

要注意な購入検討者①高収入で低貯蓄

さて今回から始まった『要注意な購入検討者』シリーズの第一回目は
高収入ながらも貯蓄が少ない、もしくはほとんど無いという人についてです。
ここでいう"高収入"とは世帯年収で1,000万円を超え、
"低貯蓄"とは世帯貯蓄が500万円未満を目安とします。

先日2月21日(土)の日経新聞PLUS1に掲載されていた「マイホーム、買い時と思う?」という
アンケート結果に関する記事で、約56%の人が「買い時だとは思わない」と回答し、
その理由として1番に「充分な自己資金がまだたまっていない」、
次いで「不況のため、今後の生活に不安がある」と回答していました。
一方、約44%の人は、「物件価格が安い」ことや「住宅ローン減税の拡充」、
「住宅ローン金利の低さ」を理由に「買い時だと思う」と答えています。
リクルートのマンションズのアンケート調査でも同様の結果となっており、少しの差ではありますが、
「買い時だとは思わない」という人が過半数を占めています。

私自信はこれまでも述べているように、「買い時だ」と考える人の指摘する理由、
つまり"低価格"、"優遇税制"、"低金利"がまさに根拠となって
「情報収集と物件の見極めができて、さらに自己資金の準備があれば今は買い時だ」
と思っていますが、現在のような状況下では情報収集と物件の見極めの難易度は高く、
貯蓄が目減りしている方も多いことから、上記のアンケート結果のように、
住宅購入に慎重な姿勢を示している人の方が多いことに少しだけホッと胸をなでおろしています。

しかし、一方で自己資金がほとんど無いにも関わらず、
安易に物件購入に突き進む人も決して少なくありません。
特に高収入な人は高収入だけにこの傾向に陥りやすく、注意喚起をしても"空前の低金利"を理由に、
「今から貯めるくらいなら早くローンを組んだ方が得!」と胸をはります。
また、高収入だけに不況下にあっても比較的将来を楽観視しがちです。
しかも高収入の人はプライドが高く、また日常生活で忙しくしている人が多いため、
住宅に多くの希望条件を求めます。
結果、予算が高くなりがちなのですが、
収入が多いだけに多額の住宅ローンも問題なく借入できてしまうため、
気付かぬうちに危険な購入へと踏み出してしまう傾向があります。

ここではっきり述べます。
世帯年収が1,000万円を超えていたら、
夫婦2人ならつつましい生活をしなくても年間で300万円以上の貯蓄は充分可能です。
また子どもがいたとしても小学生以下など、まだ幼いなら、やはり同程度の貯蓄は可能なはずです。
ましてや住宅を購入しようとされているのですから、事前に頭金等の準備をするのは当然のことです。
にもかかわらず、その当然のことができていないうちに多額のローンを組み、
多額の住宅購入に踏み切ることはかなりリスクが高いと認識すべきです。

今のような時代、現在高年収でもいつそれが途絶えるかわかりません。
また住宅は買ったら終わりではなく、
その維持管理のために、決して安くない費用負担が発生し続けます。
さらに人生、住宅だけが全てではありません。

予想外、想定外なことだらけの人生、最後に生活を支えてくれるのは貯蓄です。
高収入にあぐらをかかず、収入に見合った貯蓄を行い、住宅購入や老後、
そして生活防衛に備えましょう。
その準備ができないうちは、たとえ結婚しても、たとえ家族が増えても、たとえ子どもが進学しても、
また低価格でも低金利でも優遇税制があっても、あなたにとっての"買い時"ではありません。

要注意な購入検討者②短い検討期間

"要注意な購入検討者"の2回目は、
モデルルームを訪れてから概ね2週間程度以内で申込、契約をしてしまう購入者についてです。
現在のように不動産不況で、かつ3月の決算前には非常に多発するパターンですが、
これはとても危険な行為です。

モデルケースは以下のような感じです。

きっかけはさまざま。人によっては希望条件に合っているからと、また人によっては"とりあえず"と
モデルルームを訪れます。そして営業担当者は熱心にセールスします。
特に建物建築中の物件はきれいに飾りたてたモデルルームを中心に、メリットばかりを並べます。
順路に従ってひととおり物件を説明し、商談のテーブルにつき、
お決まりの「変動金利」で資金計算をすると、最後に営業担当者がこう言います。
「決算前なので、普段より多額の値引きができます。このお部屋なら○○万円引きます。
ただし今週末までに申込、契約をしていただくことが条件となります。」
もしくは、「このお部屋は人気があり、このタイプは残すところこのお部屋だけなのですが、
他にご検討者がいらっしゃいます。先着順ですので、なるべくお早めにご決断ください。」
購入検討者は内心、「どうせセールストークでしょ」と思いつつも、
「せっかくなら安く買いたい」、「気に入ったお部屋がぐずぐずしている間になくなってしまうかも・・・」
と少々あせります。すると不思議なことにその物件を肯定するような言い訳をたくさん思いつきます。
「駅にも近いし、日当たりもよい、ちょっと狭いけどそれでもこの値段で買えるのは今しかないかも・・・」
「低金利だし、買うなら今がチャンスかも。家賃を払い続けるのも無駄だし・・・」
ここで「決めちゃえ!」という自分と「もう少し慎重に!」という自分が戦い、
後者が優勢となった方の一部が私などのところへ相談にいらっしゃいます。
しかし前者が優勢、もしくは圧勝してしまった方は、たった一回のモデルルーム見学で
あっさり数千万円の物件の購入を決めてしまうのです。

完成済み物件ならまだしも、実物を確認せずに、しかも購入する部屋とは違うタイプのモデルルームを
一回や二回見ただけで購入を決めてしまうのは、危険すぎます。
なぜなら不動産購入には隠れたデメリットや注意点が数多く存在するからです。
また、住宅ローンの試算を営業担当者の提案にまかせっきりではリスクが高すぎます。
なぜなら営業担当者は購入者のその後の家計など知ったこっちゃないからです。
不動産や住宅ローンは、はっきり申しあげて一般の方には難易度が高すぎると思います。
ただいたずらに時間をかけて検討すればよいというものではありませんが、
少なくとも同じエリア、沿線で4~5物件は比較検討すべきですし、
天気や時間帯を変えて何度か建設現地に行ってみたり、重要事項説明書を事前に読んでおくなど
最低限の物件の理解は深める努力が必要です。
また住宅ローンについても変動金利のみならず、必ず全期間固定金利で計算してみるべきです。

そして実は契約後にも転機が訪れます。
契約から引渡しまで、建物が完成していない物件なら数ヶ月~2年ほど、
即入居可能物件でも、住宅ローンを利用して購入するなら最短でも1ヶ月ほどありますので
その間に購入してよかったのか、また購入価額は妥当だったのかを考えることになります。
また住宅ローン利用者は正式にどのローンを利用するのか決定しなくてはなりませんので、
改めて住宅ローンに向き合うことになります。
そこでまた多少なりとも不安や迷いが生じた方が、私のところへ相談にいらっしゃるわけですが、
このタイミングでご相談にいらしても、残念ながら選択肢は限られます。
特に購入した後で予算オーバーに気付いた時などは、大幅な家計見直しをするか、
「契約解除」という大きな損失を伴う決断をするかの過酷な二者択一となる場合もあります。

営業力の無い営業担当者ほど結論を急がせます。
また充分な検討をさせると選んでもらえないような物件の担当者は時間的猶予を与えません。
それでもどうしてもその物件が気になって仕方がないのなら、
物件の売買契約を締結する前に専門家に相談しましょう。
相談料など、住宅購入失敗の損失に比べたら微々たるものです。

要注意な購入検討者③変動金利の利用予定者

先日、住宅金融支援機構が発表した『民間住宅ローン利用者の実態調査』によると、
先月上旬時点の回答で、「変動金利」の利用者が45.1%に達しました。
2年前の1月にはわずか10%弱、1年前の1月には20%強だったことと比較すると、
大幅に増加していると言えます。

ここ十数年、"変動金利"と言いながら店頭金利は2%台から"変動"しておらず、
優遇適用となれば1%台を維持してきましたので、
常にその低金利の魅力は住宅ローン利用者をひきつけてきたのですが、
一方で、この金利水準がほとんど変わらない2年ほどの短期間に
これだけ「変動金利」の利用者割合が"変動"することにはやや違和感を覚えます。
そして先月、最優遇金利適用後の変動金利が1%を割り込んだことにより
「変動金利」を選択している人が急増しているとしたら、
目先の低金利に惑わされているのではないか、と心配になります。

この『民間住宅ローン利用者の実態調査』ではさらに詳しく尋ねています。
「利用した住宅ローン決定に際して影響が大きかった媒体は?」という質問に対し、複数回答ですが、
約40%が「住宅・販売事業者」と回答し、約20%が金融機関と答えています。
ちなみに「FP、住宅ローンアドバイザー等の専門家」と答えた方はわずか4.4%です。
そして「利用した住宅ローンを選ぶ決め手」として約73%が「金利が低かった」と答え、
さらに変動金利の利用者の48%が「金利上昇に伴う返済額増加への対応」について
「返済額圧縮、あるいは金利負担軽減のため、一部繰上返済する」と答えています。
この時点で既に私の胸は痛み始めているのですが、それに追い討ちをかける調査結果は、
変動金利を利用した割合の最も多い年齢層は30代(37.4%)であり、
年収層は400万円未満(42%)であることです。ものすごく恐ろしく、クラクラします。
と、述べたこところで多くの方は「それのどこが恐ろしいの?」と思われることでしょう。


給料日ローンのデフォルトの場合はどうなりますか?

詳しくはぜひご相談にいらしていただきたいのですが、ここで端的に述べますと、
まず、変動金利選択に大きく貢献した「住宅・販売事業者」は買手の購入後の家計など
知ったこっちゃありません。彼らの目的はただひとつ、住宅を購入してくれたらそれで目的達成です。
よって、できるだけ低金利のローンを紹介し、その金利で試算した支払額を見て
購入検討者が「これなら買える!」とか「家賃並みの支払で買えるわ!」と思えばよいわけです。
そして次の貢献者、「金融機関」にとって、最も借りて欲しいローンは変動金利型です。
なぜならこのローンが最も「金融機関」のリスクが少ないからです。
変動金利や短期間の固定金利指定型ローンほど金利を大幅に優遇するのはこのためです。
また、低金利下における変動金利の弱点は、将来、金利が上昇し、返済額がアップすることです。
その弱点をカバーする、というか紛らわす魔法のキーワードが「繰上返済」と「借り換え」です。
では「繰上返済」の原資はどこから出てくるのでしょうか?
30代でこれからお子さまの教育費がかかり、子育てで奥様の収入が減る中で、
また失礼ながら年収400万円以下という収入の中で、
どうやって多額の「繰上返済」の原資を捻出するのでしょう?
しかも変動金利が上昇し、「借り換え」を検討する頃には、
とっくに長期金利はさらに高くなっているはずです。

住宅ローン金利や家計の将来を予測することは非常に難しいことです。
それだけに客観的な情報の収集が必要ですが、これもまた難しいことです。
住宅ローンのしくみと歴史、そしてリスクとその対処法は私が教えます。
また、将来予測しうる家計の推移とライフプランについてアドバイスいたします。
ぜひ購入を決めるその前に、ご相談にお越しください。

要注意な購入検討者④4,000万円以上の借入

低価格、低金利、優遇税制などの条件が揃うと、自己資金の準備よりも先に購入した方が有利と
購入価額の大半を借入に頼ってでも今すぐの購入へと走りがちです。
しかしその借入額が4,000万円を越えるとなると注意が必要です。
仮に4,000万円を今月の全期間固定金利で借り入れた(ボーナス返済無)とすると、
35年返済(3.5%)で約165,300円、30年返済(約3%)で約168,600円、
25年返済(2.9%)で約187,600円、20年返済(2.6%)なら約213,900円です。
いずれの場合でも、マンションの場合は管理費、修繕積立金、
そして固定資産税や都市計画税を含めると月々の支払が20万円を超えることになります。
また税込み年収に対する年間返済額の比率は、
一般的には25%以内なら適正範囲と言われておりますが、
これに基づくと、35年返済の場合で約793万円以上、20年返済なら約1,070万円の年収が必要です。

これまでにご相談にいらした方の事例を見ると、
よほどの高額年収でもない限り、ローンの支払に管理費等のランニングコストを加えた住宅費が
月々20万円を超えると、多くの方が多少なりとも「きつい」と判断なさるようです。
世間では「年収の5倍の住宅購入が適正」とか、「年間返済額が年収の25%以内ならOK」とか、
多くの基準が年収で語られますが、では年収に比例して住宅費の負担が増えるかというと、
必ずしもそうではないのです。
年収が上がれば生活は豊かになり、多少なりとも贅沢になります。
そして一旦引き上げられた生活水準を下げることは、かなりの努力を有します。
住宅情報誌の『マンションズ』の調査でも、
年収が1,000万円までは年収に比例して借入額が増えるものの、
それ以降は年収が増えても5,000万円以上の借入には踏み切れていない実情がうかがえます。

ここで問題なのは、この調査では5,000万円までの借入はある程度行なわれているのですが、
その多くの方が、70歳以降の老後にも続く返済期間で借り入れていたり、
変動金利や短期固定金利指定型を選択している場合が多く見受けられます。
家計とライフプランを見直して予算を決める前に物件選びを先行した場合に多いのですが、
このような借入条件を検討している方に、「老後はどのようにして返済するのか?」、
「金利が上昇したらどうするのか?」を尋ねると、多くの方はやはり「繰上返済」と答えます。
これについては前回のブログでも説明したとおりですが、
それでは単なるリスクの先送りになる可能性が高いのではないでしょうか?
そして借入額が大きいほど、また借入期間が長いほど、金利上昇時のリスクは高くなります。
また、"確実にできる繰上返済"なら、その分を最初から借入に組み込んだ方が確実に得ですし、
"できたら繰上返済"と考えているなら、できなかった場合の対処を検討すべきです。

首都圏のマンションの平均価格が4,200万円前後にある今、
頭金の少ない方や高額物件を希望される方の多くは4,000万円以上の借入をすることになるのですが、
適正な借入期間(老後にローンを残さない)とリスクの少ない金利(できるだけ長期固定)を選択したら
月々の支払額が多すぎて返済できないという方は要注意です。
人によって条件は異なるので、全てが危険というわけではありませんが、
大きなリスクをはらんでいることを認識し、今後の家計の収支を確認し、慎重に判断しましょう。

要注意な購入検討者⑥"購入"への強いこだわり

このたび、2009年度の税制改正が正式に決定しました。
目玉となっていた住宅ローン減税についても既に発表されていた税制改正大綱の内容が
そのまま成立しましたので、昨年の減税額と比較して大幅な減税を受けられることになりました。
特に減税額算定の基礎となる年末の住宅ローン残高の限度額が
2,000万円から5,000万円に引き上げられ、所得税から控除しきれない分は
翌年分の住民税からも一定額までは控除できるようになったことのメリットは大きいです。
これにより、平均でも3,000万円を超える借入をしている首都圏のマンション購入者にとって、
ほとんどの場合で減税額が大幅に拡大することになります。

ただ、住宅ローン減税の拡充を理由に住宅購入を急ぐのは、どなたにとっても得策とは限りません。
そこで今回の『要注意な購入検討者』は、こうした"優遇税制"や"低金利"、"低価格"などを理由に
準備もなく、情報も不十分に、また購入する"能力"もないまま
"購入"に突っ走ってしまうケースに注目します。

と、結論を先に述べてしまいました。
つまり住宅購入には、購入する"能力"と"準備"、そして"情報収集"が必要ということです。
この"3点セット"をお持ちではない方が、さしたる理由もなく、
ただひたすらに"購入"にこだわるケースが相談の現場では時折見受けられます。

「賃貸は家賃がもったいないので購入したい。」
「低金利で低価格、住宅ローン減税も拡大の今こそどうしても購入したい。」
"購入"への強いこだわりのある方の多くが、決まってこのようなことをおっしゃいます。
この購入動機自体は決して間違いではありませんし、否定するつもりもありません。
しかし、それにこだわりすぎると、物件選びやローンについての情報収集を怠ったり、
自己資金もほとんどないのに購入に突っ走ってしまう、
もしくは身の丈を超えた購入に踏み切ってしまったりする傾向があります。

例えば「家賃がもったいない」ことにとらわれすぎると、購入にかかる費用を甘く見積もりがちです。
購入時の諸費用やローン利息、管理費、修繕積立金、固定資産税等だってもったいないのでは?
また、賃貸の最も大きなメリットは「住み替えが比較的容易なこと」です。
こうした費用負担や住み替えしやすさを考慮してもなお、購入するメリットがあると言えますか?

「低金利、低価格、優遇税制の今」にこだわりすぎると、自分のライフプランを無視しがちです。
自己資金の準備はできているのでしょうか?
優遇金利が適用されるような安定、継続性ある収入が確保されているのでしょうか?
また、今後のお子さまの予定や奥様の働き方など、ライフプランは描けているのでしょうか?
こうした点を無視すると、入居後まもなく家計が厳しくなったり、住み替えを検討、
もしくは住み替えたくてもできないことになる可能性があります。

"マイホーム購入"の意欲が強くなったら、今一度踏みとどまって考えてみてください。
購入する"能力"がありますか?"準備"はできていますか?そして"情報収集"は充分ですか?
もしわからなくなったらぜひご相談にお越しください。

要注意な購入検討者⑦親のすすめ

かつて購入検討者の親の存在は、販売担当者からすると"敵"でしかありませんでした。
親は子を思うがゆえに、子の多額の借金を心配し、購入に突っ走りがちな子を制していたものです。
私が販売現場にいた頃にも、多くの親が子の住宅購入を心配し、モデルルームを訪れては
「うちの子をだまさないでよ!」とばかりにらみつけていたものです。
特に変動金利しか勧めないような営業担当者には、
「この低金利時代に変動金利を勧めるとは何たることか?!」と抗議してくるほどでした。

ところが最近はやや様子が異なるようです。
私のところに相談に来られる方の中にも、本人よりも親の方が購入に前向きであり、
もし資金的に問題があるなら自分たちが援助してもよいから購入すべきと意気揚々としているのです。
「家賃を払うなんてもったいない!」、「早く住宅ローンの返済を始めた方が月々の支払が安くすむ」と
親が率先して子の住宅購入の後押しをします。
そしてそれは自分の経験に基づいたアドバイスであり、
"マイホーム購入"こそが人生の幸せのひとつであると信じて疑わないという背景があります。

しかし、親の世代とはマイホーム購入時の"時代"が大きく異なります。
現在、購入検討者の中心は30代です。
よってその親の世代は1970年台前後に結婚、出産、そしてマイホーム購入をした世代となります。
1970年台前半は、日本はまだ高度経済成長期にありました。
当時は物価上昇率が年平均15%を超えておりましたが、
賃金上昇率もそれをさらに超えた水準で推移しておりました。
そのため、当時は年々生活が豊かになることを実感できていたはずです。
しかも当時の住宅ローンは住宅金融公庫融資や公団の割賦販売が主流でしたので、
基本的には住宅ローンの返済額は固定金利により一定であることがほとんどでした。
またもし仮に変動金利で借り入れていたとしても、
賃金が物価水準を上回るペースで上昇していましたし、年功序列制の賃金条件では
家計が直ちに苦しくなることはなかったのでしょう。
さらにその時代の首都圏のマンション1戸あたりの平均価格は1,500万円前後です。
そのうえ既に年金を受取っている親世代はもちろん、今後数年以内に年金を受取る世代は
今の30代より多くの年金額を受取れる可能性が大です。
そんな経験に基づく親世代のアドバイスが、はたして今の勤労者に通用するのでしょうか?

また昭和30年以来一度も下がったことのない教育費の物価。特に子育て世代にとっては
親の世代が経験したことのない、想像もできない未来が用意されていると考えるのが妥当です。
よって、全く異なる経験をしてきた親のアドバイスなど、
こと家計についてはあまりあてにすべきではないと思います。

それでも親が自己の経験を基にマイホーム購入を勧めている場合、"時点補正"が必要です。
親の世代と今との賃金や物価水準、景気や社会保険制度などを鑑み、
どれほど親世代との乖離があるかを計算し、そのうえでアドバイスを受けとめなくてはならない・・・
しかしそれはあまりにも違い過ぎるため、結果的には参考にはならないのではないでしょうか?
親のアドバイスですから、そうそう無視するわけにはいかないのでとりあえず話しは聞いておき、
現状と将来のライフプランを情報収集に基づきよく考えてみる必要があります。
それでもわからなくなったら、もしくは不安を感じたら、やはり専門家に相談するのが一番です。
何度も述べますが、相談料など住宅購入の失敗に比べたら微々たるものです。
必要なら親の経験談にも根拠をもって説得します。ぜひ親御さんと共にご相談ください。

要注意な購入検討者⑧無知に甘んじている人

"要注意な購入検討者"シリーズの最後は「無知に甘んじている人」です。

不動産の見極め、住宅ローンの選定、購入住宅の理解など
不動産売買の現場は難しく面倒なことだらけです。
しかも一生のうちに不動産売買を何度も経験する人は少なく、
特に現在マイホームを購入しようとしている人の多くは、不動産売買については「初心者」です。
よって何か問題があった時、もしくは購入の失敗を認めざるを得ない時、
決まってこういいます。「よくわかっていなかった」と。
そしてその変化形として「説明がなかった」とか「デメリットについて知らされていなかった」と
言い訳しますが、では「それなら仕方がなかった」と誰かが救ってくれるのでしょうか?
皆さんもご存知のとおり、答えは「NO」です。


intrest率の現在のイールドカーブは何ですか?

マイホームを購入した後になって「知らなかった」や「説明がなかった」は通用しません。
たとえ素人であってもきちんと理解し、必要なら説明を求めて購入しなければなりません。
ところが驚くことに重要事項説明の際に寝入ってしまう購入者や、
また、なぜよくわかっていないのに契約したのか尋ねると、「どうせよくわからないから。」と
当たり前のように答える方が少なくありません。

数千万円にも及ぶ買物、失敗しても簡単にはやり直しがきかない不動産売買、
果たしてこれでよいのでしょうか?
例えば自動車購入、運転操作の仕方がわからないのに買いますか?
例えばビジネススーツ、サイズがわからないのに買いますか?
不動産よりうんと安く、もしくは取替えがきくものを購入する時には
その価値を吟味し、内容を確認するのに、
なぜ最も高い買物で、かつ取替えがなかなかしづらい不動産購入は何もわからずに買ってしまうのか、
本当に不思議です。
不動産はわかりにくい部分にこそ、その本来の価値を示しているのですから。

たとえ親切な営業担当者からリスクやデメリットの説明が無くとも、
重要事項説明書をよく読み、読み方がわからない言葉や意味がわからない言葉は全て
確認すべきです。
またできるだけ想像力を働かせて、例えば隣地に空地があったら将来の建築計画の可能性について、
例えば思い描いているライフスタイルがあるならその実現性について、
例えば設備や施設の利用方法がわからなければそれについて、
率直に一つ一つ疑問を解決すべきです。

ただ、何がわからないのかわからないという場合や、時間がなく深く追求できない場合もあるでしょう。
その際にはぜひ第三者のプロにご相談いただきたいと存じます。
何度も述べますが、不動産売買の失敗に比べたら数万円の相談料など微々たるものです。

以上、これまで8週にわたり述べてきました"要注意な購入検討者"シリーズは今回で最終回です。
このシリーズで取り上げた内容に合致するか方全てに問題があるとは申し上げませんが、
少なくともよく注意し、振り返って考え直す必要があるという事例について取り上げましたので、
心あたりのある方は、はやる気持ちを抑えて、今一度冷静に考えてみていただきたいと存じます。
そしてよくわからない場合や反論がある場合にはお気軽にご相談ください。
皆様のご相談、お問い合わせ、お待ちしております。
なお、匿名でのご相談、お問い合わせには応じておりませんので、予めご了承ください。

答えはひとつではない

住宅購入の相談の場で、よくこのように問いかけられます。
「私たちにとってはどうすることが一番よいのでしょうか?」
「私に最適の住宅ローンを教えてください。」
この問いかけをする人は、未知の未来に関わることなので断言はできないかもしれない、
でも答えはひとつだと思っています。
しかし結論から先に述べますが、未知の未来に関わることだけに、答えはひとつではありません。

また、そもそも"答え"とは何なのでしょうか?
例えば住宅ローンの選択について述べるなら、
トータルの支払額が最も安く済む組み方が"答え"だと考えることもできますが、
少なくとも私はそれだけが"答え"とは思っておりません。
仮にこの先数十年、ずっと低金利が続いたならば、総支払額では変動金利に軍配が上がります。
しかし、全期間固定金利を選んだ人が、返済額が変わらないので安心して返済を続けられた、
もしくは教育費や老後資金等の貯蓄が計画的にできた、といったような場合、
この選択は必ずしも間違いではないのではないかと思うのです。
逆に数年後に大きく金利が上昇したとして、変動金利を選択した人が、
金利上昇への対処として繰上返済に努め、早期完済ができた、などの場合には
やはり結果的にこの選択が良い結果を導いたといってよいこともあるのだと思います。

よって私が考える"答え"とは、「この選択をしてよかった」とずっと思い続けていられるかどうか、
ではないかと考えています。
そしてその"答え"はひとつではないと思うのです。
相談相手が変われば、さまざまなアドバイスがでてくることでしょう。
また同じ条件を提示しても、異なる"答え"が示されることもあるかもしれません。
ただ、その全てが"答え"となりうる可能性があるはずです。

しかし、人生は一回きりですので、
住宅購入について同時期に複数の選択肢を試してみることはできません。
ではどうすれば答えにたどり着けるのでしょう?
それは、「安心」・「納得」・「自信」の3つすべてを持てるかどうかで判断されると思います。
そのため、私はさまざまなケースを想定し、
考えられるリスクやデメリットを全部お伝えしたいと考えております。
そのうえで購入検討者が安心、納得し、また自信をもって購入できるようアドバイスしたいと思います。
さらにその後の行動の指針も示していきたいと思います。
そこから導き出したこの3つが揃った答えはきっと間違っていないはずです。

"狭小・木造・3階建住宅"に注意 その1

私は自称『マンション購入支援FP』なのですが、
意外にも多くの一戸建ての検討者が相談に来られます。
もちろん、一戸建ての購入についても相談は可能ですが、
時おり"狭小・木造・3階建住宅"の購入を予定している方が相談に来られると、
やや困ってしまうことがあります。
なぜなら、それらの物件の概要を拝見したり、現地を見学したりするのですが、
どの物件もデメリットばかりが多く、いまだに購入をおすすめできる、というか、
購入を容認できる物件に、また購入をすすめられる検討者に出会っていないからです。

まず、そもそも"狭小・木造・3階建て住宅"とは何ぞや、という点ですが、
これは敷地面積が30坪以下の木造3階建て住宅を指し、
その多くは、「庭がない」、「自転車の置き場がない」、
「既に容積率、建ぺい率の上限で建てられていて増築不可」
「キッチン・トイレ・風呂・洗面所が同一フロアにない」など、
一戸建て住宅としてはメリットの少ない内容となっています。
特にキッチン、トイレなどの水周りが同一フロアにないのは致命的です。
なぜならそういう物件は永住できない可能性が高いからです。

まず老後について考えてみてください。
特に大きな病気やケガがなくても、足は不自由になり、
階段の上り下りが苦痛になる可能性が非常に大きくなります。
そうした中で、キッチン、トイレ、浴室、洗面所にいくため、
いちいち階段の上り下りがあり、しかもその階段が狭く、急だったとしたら
それは日常生活そのものが苦痛の連続であることを意味します。
さらにそうした物件の多くは寝室とバルコニー、洗濯機置き場とバルコニーも
階段で隔てられ、布団干しや洗濯物干しにも階段の上り下りがついてまわります。
また、もし車椅子での生活になったとしたら、玄関前のわずかな段差も障害となり、
玄関周りや廊下、水周りを拡げるリフォームが必要となりますが、
敷地に余裕がないと、こうしたリフォームも難しくなります。

そしてこれは老後だけの問題ではありません。
ケガなどで一時的に歩けなくなったり、松葉杖が必要になった場合も同様です。
また子育て世代にとっても、幼い子どもをおんぶやだっこしながらの階段の上り下り、
それが一日に何度となく続くわけです。

それなのに、こうした物件を検討する方の多くは、
物件のデメリットについて、長期的視点で深くは検討していないようです。
デメリットの一部を指摘すると、「この価格で一戸建てが買えるなら
多少のデメリットには目をつむる」と、口ではおっしゃいますが、
こうした将来のリスクを覚悟しているかというと、残念ながらそうではないようです。

確かに首都圏での住宅購入に、多少の妥協は不可欠とは存じますが、
それでもきちんとデメリットやリスクを理解し、納得して購入することが重要です。

次回のブログでは構造面や資産価値という観点で、
この"狭小・木造・3階建て住宅"の注意点を指摘いたします。

"狭小・木造・3階建住宅"に注意 その2

"狭小・木造・3階建住宅"の購入を検討する方に
「なぜマンションではなく一戸建てを検討するのですか?」と尋ねると
多くの方は価格的メリットを挙げます。
「一戸建てなのにマンションより安いから」と。

確かに同じような立地条件のマンションと比較すると
"狭小・木造・3階建住宅"の方が安い場合が少なくありません。
しかし安いにはそれなりの理由があります。
というか、"狭小・木造・3階建住宅"は、
"安さ"のみを追求している住宅だといっても過言ではなのです。

つまりその多くは、元々1棟の住宅があった敷地を分割し、
狭い敷地でもそれなりの床面積を確保するため3階建てとしています。
しかも本来3階建てなら軽量鉄骨造か鉄筋コンクリート造としたいところですが、
コスト削減のため木造で造った、そんな物件だということです。
一方で、3階建ての場合、建物の強度を確認するため構造計算を行なう必要があり、
それだけ柱や壁の強度が問われる建物なのですが、
当然強度を高めるためにはコストがかかります。
しかしそれはコストカットゆえに木造3階建てにしたという点と相反することになり、
それゆえ建築の専門家の中には、木造3階建て住宅の約9割は欠陥住宅であると
指摘する者さえあります。
つまり、"安さ"を追求した"狭小・木造・3階建住宅"は
見えないところで手抜き工事が行なわれたり、
必要な強度が確保されていない可能性があるというのです。
もちろん全てがそうだとは思いませんが、
注意するに越したことはありません。

また前回も指摘いたしましたように"狭小・木造・3階建住宅"には永住できません。
よって遅かれ早かれ住み替えをすることになりますが、
ではこの住宅、どれほどの資産価値を有するのでしょう?
その売却益をもってして住み替えが可能なのでしょうか?

私はバブル期前ならともかく、
これからこの"狭小・木造・3階建住宅"の資産価値が高まる要素は
ほとんどないと思っています。
なぜなら現在、全国的に、また首都圏においても住宅が大量に余っているからです。
住宅が余れば、住宅の価値は全体的に下がり、
さらに不便な住宅、つまり古かったり、狭かったり、
住みにくかったりする物件から先に切り捨てられていきます。
また年々住まいに求める面積が広くなっている中にあって
増築不可の"狭小・木造・3階建住宅"は真っ先に
切り捨てられる物件に該当する可能性が高いと思います。

もちろん、"狭小・木造・3階建住宅"であっても
子どもが大きくなるまでの十数年、あるいは老後までの間、
マイホームを持ち、思い通りのインテリアに囲まれ
充実した生活を送ることは充分可能でしょう。
ですから私は"狭小・木造・3階建住宅"の購入そのものを決して否定はしません。
ただこれまで述べてきたようなリスクがあることを覚悟してほしいのです。

もし不安なら、また詳細をお聞きになりたいならご相談をお受けします。
ぜひ「安くマイホームが買える!」などと安易に購入を決意なさらぬよう
注意していただきたく思います。

セミナーのお知らせ

3ヶ月以上もブログ更新をせず、
一部の方にご心配をおかけしているようですが、私はいたって元気です。
ブログが止まっていたのは、
今年はおかげさまで仕事もプライベートも大変忙しいから、なのですが、
それは"言い訳"ですね。
時間をやりくりして今後はできるだけブログを続けていきたいと思います。

さて、今回のブログではちょっと告知をさせていただきます。
来る9月18日(土)と19日(日)にセミナーを行ないます。
日時、場所、内容は以下のとおりですので、
ご興味のある方はぜひお越しください!
どちらも無料です。

9月18日(土)13:30~15:30  
住友不動産販売 ハウジングセンター(新宿NSビル2F)にて
テーマ「マンション購入時の5つのお悩みズバリ解決!」

今は買い時?適正な予算とは?など、
住宅購入検討時に陥りがちな5つの悩みについてアドバイスします。
マンションのみならず、一戸建ての検討の方もぜひお越しください。

9月19日(日) 13:00~14:00 ・ 16:30~17:30
Brillia越谷レイクタウン 販売センター(JR武蔵野線 越谷レイクタウン駅前)にて
テーマ「超低金利時代の住宅ローンの賢い選び方」

どのローンを選んだらいいの?自分に合った住宅ローンとは?など
今ならではの、またタイプ別の住宅ローンの選び方をアドバイスいたします。


ライフイベントとマイホーム購入

私はマンションの販売を行なっていた頃にも、また現在も、
マイホーム購入を検討されている皆さんに
「マイホームを購入しようと思ったきっかけは何ですか?」と、
動機を必ず聞くようにしています。
ただ正確に統計をとっているわけではないので、
どのような動機が最も多いかは定かではありませんが、
感覚的にはライフイベントの際に
同時にマイホーム購入を検討される方がとても多いように思います。
ライフイベントとは、例えば就職や結婚、離婚、子どもの誕生、
転職、定年退職、独立(開業)などをさしますが、
これらはその後の家計に大きな変化を伴いますので、
そこに住宅費という大きな支出を固定してしまうことには注意が必要だと思うのです。

気持ちはわかります。
結婚して二人の生活を始めるにあたって、
新居はマイホームでより満足度を高めたいという気持ち、
子どもが産まれて、その子どもの成長をマイホームで見守りたいという気持ち、
就職や転職を機に心機一転、
マイホームで新しい生活をスタートさせたいという気持ち。
でも住宅費は家計の中で最も大きな支出であることが多く、
特に首都圏では手取り収入の半分近くを
住宅費として支出している方も少なくありません。
それゆえ、マイホーム購入を人生の転機に同時に行なうことは、
極力避けるべきなのではないかと思います。

先日ご相談にいらしたある方は、独立を機にマイホーム購入を検討し、
既に購入したい物件を決めていらっしゃいました。
しかも、これまでは社宅住まいでしたので、月々の家賃は2万5千円でした。
その物件を購入すると、
ローンの支払いや管理費等、固定資産税等も含めた住宅費の総額は
これまでの家賃からすると、10万円以上の増額となります。
本人いわく、独立をすることによって現在より収入が増える見込みだとのことですが、
どれだけお話をうかがっても、
私はあまりのチャレンジャーぶりに
どうしてもその方の背中を押すことはできませんでした。
さらに独立してしまうとしばらくは住宅ローンが借りにくくなりますので、
独立のことはしばらく勤務先には内緒で、
在職中に住宅ローンを借りてしまおうというのです。
これもやはり気持ちはわかりますが、
やはり大きなリスクを抱えているといわざるをえません。

唯一の救いは、私のところに相談にいらしたということ。
つまり、本人も一抹の不安を感じている証拠です。

マイホーム購入は、選択を誤ると大きな損失と不幸を招くことになりかねない、
難易度の高いライフイベントです。
結婚や出産、転職や独立といったライフイベントとの両立は
さらに難易度を上げますので、
心当たりのある方は、 ぜひとも"Think Twice"です。
それでもどうしても両立させたい方はぜひご相談にお越しください。

こんな時代の住宅は?

最近、新聞やテレビを通じて流れてくる家計に関する情報で
良いニュースはほとんどありません。
収入が減っているとか、大卒の就職内定率が過去最低とか、
企業の業績悪化とか・・・。
一方で、低金利だとか、マイホーム購入に関する税の軽減とか、
フラット35Sの金利引き下げだとか
住宅購入に関しては一見良いニュースばかり。
そこで急増するのが、「家計防衛のための住宅購入」という考え方です。
それは、「家賃がもったいないので買ったほうがトク」という考えなのですが、
そこに大きな落とし穴があることを考えてみて欲しいと思います。

家計簿をつけていらっしゃる方にとっては明白なのですが、
住宅費は多くの家庭にとって、最も多額の支出を伴う費目であることがほとんどです。
ただ、総務省などが行なっている家計調査の資料を見ると
住宅ローンの支払いは住宅費ではなく、「借入金返済」という費目になるようですが、
私は住宅費だと考えるべきだと思っております。
その住宅費は、固定費、つまり収入が増えようが減ろうが、
常に決まって支出する費用であり、
原則その支払いは待ってもらえませんし、減額にも応じてはくれません。
そんな住宅費を多額に長期間、固定してしまうのが、住宅ローンの支払いです。
賃貸なら、家賃を払うのがきつくなったら、
もっと家賃の安い住宅に住み替えることが可能ですが、
住宅ローンの返済はそう簡単に金額を減らすことはできません。
しかも自宅を売却して住み替えるにも、
買った金額より高く売れることは今時あまりありませんので、
結果的には大きな損失を生むことになりかねません。

不景気で経済が停滞する時ほど、逆に低金利で税優遇があるため、
無計画に住宅購入に突っ走る方が増えるのですが、
安易な住宅購入計画に再度注意喚起したいと思います。
いくら低金利とはいえ、
住宅ローンを借りて購入する時点で既に"買った方がトク"ではありません。
ましてや、自己資金がほとんどなく、
購入価額のほとんどを借入に頼る買い方は非常にリスクが高いです。
今のような経済下では、できるだけ固定費を抑える努力が必要です。
社宅や官舎が利用できるなら、最大限活用しましょう。
親の住む住宅や、余っている不動産の活用も考えましょう。
賃貸住宅にお住まいなら、
購入の検討の前にもっと安く快適な賃貸物件がないか探してみましょう。
また、貯蓄に励み、
その貯蓄も当面使う予定のないお金に関しては長期運用を考えましょう。
もちろん、運用にあたっては勉強が必要です。
勉強といっても難しく考える必要はありません。日経新聞を読むだけでも充分です。

疑問や不安のある方はぜひご相談にお越しください。

続・『フリーター、家を買う。』その1

大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
昨年はブログの更新頻度がかなり低く、
多くの方のご期待を裏切ってきてしまいました。
しかも年末年始の2ヶ月間、1回も更新しておらず、開店休業状態でした。
更新を待っていらした方、申し訳ございませんでした。

事情があって公私共に忙しくしており、
今年もあまり取材ができそうにございませんが、
昨年はわずか15回しか更新しませんでしたので、
今年は倍の30回更新を目指してまいりますので、
今後とものんびりお付き合いいただきたくお願い申しあげます。

さて、今回は昨年末に最終回を迎えたフジテレビのドラマ、
『フリーター、家を買う』についてちょっと書いてみようと思います。

このドラマ、まずタイトルに強く惹かれたわけです。
フリーターがどうやって家を買うのか?
ある不動産会社の方とも仕事の合間に考えたりしました。
おおかたの予測としては、格安の競売物件をキャッシュで買うのではないか、と。
ところが、結末は『親子リレーローン』であり、
購入時には、嵐の二宮くん演じる主人公の武青年はフリーターではなく、
正社員になっていたわけで、
私は正直、少々期待を裏切られた、と感じたわけです。
と、同時にこの住宅購入、本当に大丈夫・・・?と心配にもなりました。

所詮ドラマだし、タイトルのわりには
家を買うことそのものがメインテーマではなかったので、
マジメに考えるべきことではないのでしょうが、
でももしドラマをご覧になっていた方の中で、こんな買い方もあるのか、と
安易にマネされることがあってはちょっと心配・・・との思いから、
武家の住宅購入に、おせっかいながら注意喚起をしたいと思います。
どうぞみなさん、気軽に読んでください。

まず住宅購入のきっかけについて。
ドラマでは、母親が近所からいやがらせを受けており、
住環境を変えたいとの思いから住み替えを検討することになりましたが、
それは少なからずあることで、充分理解できますし、共感もいたします。
しかし、そういうきっかけだとしたらいきなり購入するというのはどうなのでしょう?
もしまたご近所とうまくいかない場合、
本人のストレスは前回以上に強いものになってしまう可能性が高いうえ、
持ち家を売却しての住み替えは
ドラマのような賃貸からの住み替えに比べてリスクが大きくなります。
環境を変えてもまたいやがらせを受ける可能性は低いと考えられるかもしれませんが、
人間関係がうまくいかない場合、本人に問題がある可能性も考えられますので、
私はこういう場合は、まずは賃貸で様子をみてはいかがかと思います。

さらに、ドラマで買った家は中古の一戸建てだったと思いますが、
周辺環境やら建物の状況やら、
最も大事なご近所の状況など、きちんと確認したのかも心配されます。
もちろん、ドラマではその辺はまったく触れられていないので、
本当のところはどういう設定だったのか定かではありませんが、
チラシを確認した程度で、複数の選択肢から選んではいなかったようなので、
この程度の検討で購入を決めてしまうのを、マネしてほしくないと感じました。
また予算や、希望条件などまったく話し合っていなかったので、
これもどうかと思います。
意外にも住宅購入には衝動買いが多く、そのためか、住んでまもなく住み替え、
というケースも少なくないので、くれぐれも
「家族での話し合いもなく、1物件の検討だけで、ローンさえ通れば買う」
という買い方はしないよう注意していただきたいものです。

今回はここまで。
次回も『フリーター、家を買う。』の買い方への注意喚起第2弾を書きます!

続・『フリーター、家を買う』その2

前回に引き続き、おっせっかいながらドラマ『フリーター、家を買う』の
武家の住宅購入を安易にマネしないように注意喚起したいと思います。

武家は結局、"親子リレーローン"で中古住宅を購入しましたが、
私にとってそれはとても衝撃的でした。
あまりにもレアな購入方法だったからです。

私は独立する前にマンション販売をしておりましたので、
これまでに数千件の住宅購入検討者と接してまいりましたが、
その中で"親子リレーローン"を利用した方はたったの1件でした。
おそらく住宅営業の経験の長い方でも取り扱った経験のある方は
かなり限られるのではないかと思うほどのレアな案件です。
なぜなら、"親子リレーローン"とは、
高齢などの理由で親のみでは借入額や返済期間などが希望通りの条件で
ローンが組めない場合に、親と子が協力して組むローンであり、
最初は親が返済をすることになるのですが、退職などで返済が厳しくなった際に
残りのローン返済は子どもが引き継ぐことになります。
また原則、親子は同居することが条件となっています。
子どもは連帯債務者なので、当然転居や結婚などの理由で返済をやめたくなっても
完済まで債務が残り、途中でその債務から逃れることは原則できません。
つまり子どものライフプランに大きな影響を及ぼすローンだということなのです。

武家の父親は住宅購入後、
息子にこれからは結婚活動に精を出すよう命じておりましたが、
就職したばかりの息子に"親子リレーローン"の後継者という任務を与え、
そればかりか結婚も促すとは・・・と、私は正直ひどい親だと思ってしまいました。
武家は2世帯住宅というわけでもありませんので、
もし親の言うとおりすぐに結婚することになったら、
息子夫婦はこの家に同居することが前提となり、もし同居しないとしても
将来、息子夫婦は自分たちの住まいの家賃とローン返済を
ダブルで支払うことになります。
そして、息子夫婦が自分たちのマイホームを持ちたいと思っても
"親子リレーローン"を完済するまでは息子はローンが組めません。
子どもが40代などで、結婚を考えていないならともかく、
そんな足かせを、20代の子どもに背負わせ、結婚を促すなど、
ちょっと酷なのではないかと思うのです。

実際、子どもにそれだけの負担を強いたくないというのが親心のようで、
"親子リレーローン"を選択する方はほとんどいらっしゃらないのですが、
もしリスクを知らずに検討していらっしゃるなら、要注意です。

では武家はどうした方がよかったのか?
もし購入前に私にご相談いただいたなら、
私はまずは賃貸に住み替えることを勧めます。

そして武家のようにならないために
事前にしておくべきこともアドバイスしておきます。
社宅および借り上げ社宅などで勤務先から住宅補助があり、
現役時代に実質の住宅費の負担が少ない方は、
一般的な住宅費を想定してういた分は貯蓄しておくべきです。
将来、住宅購入を予定しているなら年収の2割、
子どもがいないなら年収の3割程度の貯蓄を目標にしましょう。
そして、住宅購入を短期間で決めることは避けましょう。
失敗した際のやり直しは非常に難しいからです。

武家のその後にもし続編があるなら、
それはそれでいかにもドラマになりそうな展開が予想されます。
例えば、気軽に組んだ"親子リレーローン"に苦しむ息子夫婦・・・とか。

よってもし万が一、"親子リレーローン"を検討しているなら、
ぜひ親子でご相談にお越しください!



*以下の点についてこのたびご指摘をいただきました。
 「自分たちのマイホームを持ちたいと思っても
 "親子リレーローン"を完済するまでは息子はローンが組めません。」
 →返済比率次第では組める金融機関もあるのでは?と。
 
 ご指摘のとおりです。
 正確には"親子リレーローン"の年間返済額+新規で組む住宅ローンの年間返済額が
 税込年収の概ね35%~40%以内なら組めることもあります。
 ただしこの場合の"親子リレーローン"の年間返済額は、
 実際には親が支払っていて、本人が支払っていない場合でも、
 息子は連帯債務者ですから、返済額の全額が既存借入とみなされます。
 そのうえで両方のローンの年間返済額の総額が年収の最大40%以内なら
 借入はできることもある、ということになります。
 しかし、どちらか、もしくは両方の借入額がよほど少なくない限り、
 実際は厳しいと思うのです。
 なぜなら借入金額が少ないなら"親子リレーローン"にする必要はなく、
 また新規で住宅を取得しようというのに少ない借入で買えるはずもなく、
 多額の自己資金を持っていれば別ですが、
 それならその資金で"親子リレーローン"の残債を減らすべきですから、
 いずれにしても返済総額はかなりの額になるはずだからです。
 実質的にほとんどの方は希望の借入額は借りられないのが実情だと思います。
 奥様に相当の年収があり、息子が少額の借入で済むなら可能性はありますが。
 
 以上をふまえ、当該部分を次のように修正いたします。
 「~完済するまでは息子はローンが組めない可能性が高いです。」
 
 ご指摘、ありがとうございました。
 
 



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